2000年地価から見る経済動向

2000年01月23日

(株)関西総合鑑定所 細見 正博

1. 長期的な地価の動向

 まず、昭和60年のプラザ合意以降、日経平均と地価の動向は非常に類似した動きになっていると言えます。
 また、昭和47年の日本列島改造ブームからバブル崩壊迄の約15年間「土地は右肩上がりに上昇する」という土地神話が続いていましたが、バブル崩壊から約10年経過したが、毎年地価は下落しつづけています。
 昨年は全国的に地価は下落していますが、住宅地は横ばいに近づきつつあると言えます。商業地については、金融不安・企業倒産・リストラ等により下落幅の拡大が見られました。
 また、京都府南部(宇治・城陽等)につきましては、日産車体の閉鎖、みやこ信金・南京信の経営破たんにより、今後も厳しい状況が続くと考えられます。

2. 平成11年都道府県地価調査に基づく地価動向の特徴について

 ここでは大阪圏についてのみポイントをあげてみました。
 住宅地について上位全て兵庫県が占めております。(前ページ表参照)
 これは、いわゆる高級住宅で一区画が広く、総額がはる為に下落率が大きいと言えます。
 商業地については上位全てを京都市で占めており厳しい状況が続いている事がよく解かるのではないでしょうか。商業地の下落の原因としては、まずテナントの需要がない↓賃料の下落↓地価下落と悪循環によって地価下落が拡大していると考えられます。しかし、今年3月の発表では下落幅が縮小し、京都は半分くらいに減るのではないかと予測しています。
 これからは地価の二極化が進むと考えられます。セミナーでは東京都の東京駅周辺と新宿駅周辺の例で説明して頂きましたが、この地域は高度商業地であり下落率が0から1%程度となっております。その理由として、都心では価格の調整が進み、リーズナブルな価格に加え利便性が見直されて需要が活発化してきた為と思われます。

3. 不動産市場における現在の価格体系

 現在の不動産市場は、供給過剰や企業の所有不動産(保養所や社宅)の処分や、リストラが進み、なかなか売却出来ない状況となっています。そのような状況の中で不動産の証券化が日本でも現われ、価格の判断基準として、次の収益価格の研究が進んでおります。

4. グローバルスタンダード―収益価格重視

 ご存知のことと思いますが収益価格の求め方を簡単に説明しますと、仮に1棟20室のマンションがあるとします。家賃が月額6万円だとすると年間の家賃収入は1440万円となります。そこからだいたい経費率を家賃収入の30%とすると、純収益は1440万円×(1―0・3)=1008万円となります。運用利回りを8%と仮定すると1008万円÷0・08=12600万円となります。言い換えれば12600万円投資すれば毎年1008万円の利息がつくと考えられます。但し、これは常に満室稼動でかつ資産価値が下がらないという前提になりますので、専門家の間では様々なキャッシュフローによる不動産価格を求める計算方法が研究されています。

5. 不動産の流動化対策

 昨今の状況では企業等の所有している大規模な不動産の処分は困難を究める為、不動産の証券化は避けられません。図1.を見ていただければご理解頂けると思いますが、不動産をファンドに組み入れ証券化して販売するという流れになります。大手企業のSRCは利回りを5%に設定したり、元本保証を行うなどローリスク、ローリターンで投資家を集めています。

6. 今後の地価の動向

 最後に今後の見通しとしてポイントだけ上げさせていただきます。

  • 企業が活性化しないと地価も上がってこない。
  • 大都市圏では中心部の下げ止まりが見られる。
  • 地価の二極化が進む。
  • 定期借家制度の施行により、不動産が投資対象と見直されるだろう。
  • 競売価格の下落によって競売物件の売却率が上がってくる。

 ざっと書いてきましたが、京都に於きましては、日産車体・キリンビール等大企業の閉鎖・縮小が続いている上に金融不安の中、依然厳しい状況はもう少し続くと思われますが、定期借家制度の施行や不動産証券化とやり方によっては、チャンス到来と考えられるでしょう。
 情報化社会の中で何を選択し、どのような組み合わせをするのかによって、不況と言われる世の中でも成功を収める事は十分に可能であると思います。
 財産ドックではこれからも、皆様の役に立つ情報を発信していきたいと企画しておりますので、積極的なセミナー参加をお待ちしております。

株式会社 京都ライフ 企画管理部南営業所

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