現場から見た賃貸市場と空室対策
2000年09月10日
京都ライフ 藤野 大輔・内海 健三
ワンルームマンションにおける賃貸市況・対策・今後の動向
1.大学入試における推薦入試と一般入試のこれからの対策
現在、推薦枠25%、一般枠75%で新入生を構成しているが、今年は推薦枠50%、一般枠50%と変化している。今後、合格発表も早くなる傾向に。大学といっても一つの企業(私立)。お客様に集まってもらい、入学金、学費を入れてもらわないと倒産する。
(1) 18歳の人口の減少により、今後進学生者数の減少は必至であると考えられる。
大学も人気の大学とそうでない大学と、2極分化すると思われる。
(2) 新入生への今後の対策として、
- 他の競争物件より先に動く(11月中旬までに来春の空予定を把握)
- 退室日の日割家賃を認めていき、次の入居の準備を整える。
- 古い物件の競争力アップとして、総額で20~30万という売りを作る。
- 京都の高校生はどこへ進学するのか。
20%前後が京都からの入学生、残り80%は他府県から入学してくるので、ワンルームマンションの需要はある。 - 2年契約なども薦める。確実な家賃収入の見込み。
2.今後の法人契約の動向
(1)法人はどのような部屋を望んでいるのか
- 立地として電車の沿線で、かつ駅から徒歩10分程度。バス路線は人気なし。
- 間取りとして単身者は1K~1DK25m2~30m2、新婚、単身赴任者は1LDK~2LDK45~55m2、ファミリーは3LDK以上70m2前後を希望している。
- 家賃及び条件、1K~1DKを6万~7.5万、1LDK~2LDKを8.5万~10.5万、3LDK以上を10万~13.5万円。(共益費込)
(2)法人の契約条件として、いずれも2年契約で更新料2ヶ月分以下である事。車持ちの場合、ガレージ代は一部業種を除いて自己負担となる。
(3)法人の部屋探しは3月、9月が多いが、今後は平均化してくると思われる。
(4)ハイクラスシングル層が増える為、法人向けの1LDKなど建築企画として面白いと思う。法人の望む条件への変更が可能な、更新料の設定のおすすめ。
ファミリーマンションにおける賃貸市況・対策・今後の動向
1.ファミリーマンションを取り巻く現状
(1)時代背景として、バブル崩壊が 賃料下落が起こった決定的要因。賃料下落自体は実質のバブル崩壊から数年の遅れで到来。
給与所得の減少、企業の法人契約解除、都市部への進出鈍化。結果として、賃料相場上増しの鈍化から下落というプロセスをたどる。
(2)緑地生産法の改正(1992年)
農地の宅地並課税(市街化区域内農地を宅地並に課税し、同時に宅地化農地を利用し、貸家を建設した場合、固定資産税、都市計画税の軽減措置などが受けられる)によって郊外に非常に多く物件が供給されたが、現在の住宅着工戸数は当時の半分程度になった。少子化の影響、リストラなど現不況のリバウンドが考えられるため、当面はこの傾向が続く。
2.優良・不良の二極化
・賃料の二極化
- 高金利バブル期物件...ローン返済(30年)3分の1の時点で計画の変更。
しかし、補修費を含めると採算ギリギリラインで、現在も適正家賃まで下げきれていない。 - 低金利・バブル後 築浅物件...設定賃料を低めに設定し、ローン返済も手伝って比較的余裕を持ったプラン。
空室率が低い。
・地域の二極化
都市部...賃料の下げ止まりの傾向がある。
地方部...いまだに下げ止まる傾向はない。
都市、地方の相対関係で末端まで行くともはや賃料・条件の問題だけではなく、需要が無いという地域も存在しうる。
対策
ソフト面
(1)事業収支計画の見直し→適性賃料(条件)の算出→金利、税金面など様々な角 度からシュミレーション
(2)募集形態のオリジナル化(賃貸条件など)
- スケルトン契約
- 信販会社保障システム
- 定期借家契約
(3)信託型サブリース契約
- 10年契約/1年更新
ハード面
(1)外壁改修工事
...10年に一回は塗装工事―洗浄、吹付等(外壁、共用部分、トビラ等)オリジナリティーあふれる企画の提案、競合物件と差別化を図る 。
- 防水工事→屋根部・タイル部
(2)居室内工事(リフォーム工事)
- エアコン、給湯器等の交換
- 和室、ジュータン→フローリング、 CFに変更
- 水廻り部の充実
- 専有面積の大型化
(3)付加価値工事
- インターネットマンション
- 太陽光発電システム
- バリアフリー化(手すり、後付け エレベーターなど)
- 防犯カメラ設置
- カードキーシステムの導入
賃貸派? or 分譲派?
地価が下落し、住宅の単価が下がると賃貸住宅依存層のデッドラインが下がる。更に中古マンション市場は今後も苦戦が予想される。これらの需要を喚起する今後の手段如何によっては、デッドラインは一気に低下する。しかし逆に雇用形態の変化、社会構造の変化で長期ローンをすることが非常に恐い時代に突入している欧米では70%が賃貸派であるということから、社会構造が欧米型に変化しつつある昨今では、これを追い風に賃貸派が一気に増加する可能性は高い。
晩婚化の進行
今後の経済情勢から来る、今後の社会構造の変換は個々のライフスタイルにまで波及することは疑いの余地が無く、今後も晩婚化が進むこととなる。晩婚化が進めば40m2前後の2DK賃貸物件の需要は高まる。
高齢化社会の逆ドーナツ化現象賃貸版
高齢者が地方から都市にマンションを購入し、引っ越す傾向が現れている。良質な賃貸住宅が整備されれば購入に限ったことなく、賃貸にも十分に波及することが予想できる。
核家族化の進行
現在では親と別居して結婚生活を送る核家族が一般的。これも賃貸市場にはプラスの要因である。
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