不動産管理会社の設立による節税対策

2001年11月18日

山本和義税理士事務所 塚本 和美

11月度のセミナーレポートは11月18日(日)に「不動産管理会社による節税対策」をテーマに、FP総合研究所山本和義税理士事務所 税理士 塚本和美先生により話をしていただきました。

日本の資産家は、その所有する財産の70%以上を不動産で占めていることから、不動産管理会社を設立して相続対作に活かす工夫が不可欠です。この対策は、推定被相続人に集中する不動産収入の分散による毎年の所得税対策と、その収入が推定被相続人に累積することを防止することにより長期的に見て大きな効果をあげることを目的としています。
所得税の節税は、オーナーの不動産収入から不動産管理会社に管理料を支払い、かつ、管理会社の役員をオーナーの家族にし、その役員に給与を支払うことにより、不動産管理会社を通じて、オーナーの不動産収入をオーナーの家族に、合法的に分散を図ることにより超過累進税率の適用を低く抑えることになり節税に役立ちます。
相続対策としては、原則として不動産管理会社の出資は、オーナー自身やその配偶者が出資することを避け、子供たちによる株主構成とします。そして、不動産管理会社にオーナーの所有する高収益な不動産を売買などの方法により移転を図れば、より多く家族役員などへ給与の支払いが可能となり、相続人への金融資産の移転が実現し、相続税の納税資金の準備に役立てることができます。
次に、不動産管理会社の設立から相続対策までのポイントを説明致します。

1.株式会社にするか有限会社にするか

株式会社にしたから、有限会社にしたからと言って消費税以外は税法上、有利不利の差異はありません。ですから、設立の手続きが簡素で、かつ設立後において役員の移動があるまで役員改選手続きが不要な「有限会社」を選択することが賢明です。

2.資本金をいくらでするか

資本金が1,000万円以上、未満で消費税に違いが出て来ます。消費税は原則として基準期間(法人はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が3,000万円以下の事業者は、納税義務が免税されます。その為、設立当初は基準期間が存在しないので、事業年度は消費税の納税義務が免除される事となります。しかし、設立当初基準期間が無い資本金1,000万円以上の法人は、納税義務は免除されませんので、設立後の有利不利を事前に検討し1,000万円以上にするのか1,000万円未満にするのかを考えることが重要です。

3.不動産管理会社の出資者は誰にすればよいか

不動産管理会社の設立にあたり、株主(出資者)を誰にするかは次の点を充分に検討して決定する必要があります。
優良な資産を法人で間接所有し推定被相続人に集中する収入を分散させ、相続税負担を軽減すること等を目的に不動産管理会社を設立する以上、その法人は優良法人に育っていくこととなります。
そのため、株主は推定被相続人及びその配偶者(例えば、父母)がなることは避けて、子供や孫が出資することが大切です。
株主(出資者)は誰でもなることができます。たとえ未成年の子供であっても親の同意があれば問題ありません。未成年の子供に出資する資金がない場合には、親などからの金銭の贈与を行うことにより、出資資金の原資を明確にしておきます。
また、父母が出資者となって会社を設立し、設立後にその出資持分を子や孫に贈与するという方法が考えられます。

4.不動産管理会社の役員は誰が就任すればよいか

不動産管理会社が特定の不動産所有者である推定被相続人に収入が集中することに伴う所得税の累進税率を、管理料の収受などにより緩和することが主目的の一つです。
そのため、推定被相続人が役員に就任し給与の支給を受けるとせっかくの収入分散の効果が薄れることとなるので、子や孫が役員に就任することが望ましいものと思われます。

以上のポイントに気を付けてください。最後に一番重要なのは家主様自身、現在どれだけの資産があるのかをよく把握していただく事です。その資産によって色々対策が変わってくると思います。不動産管理会社による節税対策もその内の一つです。家主様の現在の資産をもう一度見直していただき、有効な対策になればと思います。

株式会社 京都ライフ 企画管理部北営業所

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