確定申告事前準備のポイント
2001年02月18日
長谷川会計事務所 小林 良一
2月度のセミナーは2月18日に長谷川公認会計士事務所の小林良一先生によって行われました。
テーマは「確定申告事前準備のポイント」という事で、解説していただきました。
はじめに平成12年度税制改正(所得税関係)について。
1.住宅ローン減税
従来からの住宅ローン減税について、その適用要件の1つである居住供用年が半年延長され、平成13年6月30日(改正前は平成12年12月31日)までとされました。
2.扶養親族に係る控除額
平成12年以後の各年分の所得税について、年少扶養親族(年齢16歳未満)に係る扶養控除の額が1人当たり38万円(改正前48万円)に減額されました。
3.正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除額を、55万円(現行45万円)に引き上げる。なお、簡易簿記の方法により記録している者については、現行のまま45万円とする。
次に不動産所得の申告に係る留意事項について。
不動産所得の金額の計算
不動産所得の金額は、総収入金額―必要経費で計算します。次にどのようなものが収入金額になるか又必要経費になるか具体的にあげていきます。
◇収入金額
- 家賃
- 礼金
- 更新料
- 敷金・保証金
- 名義書換料
- 共益費
- 入居者から預かった水道光熱費
家賃については1月1日から12月31日までの収入の確定した金額によって計算。又借主が家賃を供託しているときの収入時期は次のようになります。
- 賃貸借契約の存否が争いの原因である場合...その係争が解決した日
- 賃貸料の値上げなどが争いの原因である場合...賃貸料相当額として供託された金額については、その年分の収入金額に算入し、その後確定した値上げ部分はその確定した年分の収入金額に算入します。
敷金・保証金については本来返還するものなので、収入金額には算出されませんが、一部について返還しない部分に相当する金額は、返還しないことが確定した年分に算出しなければなりません。
◇必要経費
必要経費は現実に支払った金額ではなく、その年において支払うべき債務の確定した金額によって計算します。
- 租税公課
- 損害保険料
- 修繕費
- 減価償却費
- 借入金利子
- 管理費
- 水道光熱費
- 立退料
- 専従者給与
租税公課については所得税及び住民税は経費になりません。損害保険料について一括で支払っている場合は月割りで計算します。
修繕費については、必要経費に算入されますが、資本的支出となるものは修繕費の金額から除かれ、一旦資産計上した上で減価償却により経費にされます。
資本的支出とは、固定資産に手を加えたことによる支出が通常の管理又は修理の程度を超え、それによって資産の価値を高めたり、使用可能年数が延長したりする性格を有するものをいい、例えば次の様なものが挙げられます。
(イ)建物の避難階段の取付等、物理的に付加された部分に対応する金額
(ロ)用途変更の為の模様替え、取替え等に要した金額
資本的支出と修繕費の区別は次にあげる表で判断することができます。
減価償却費について償却方法は
- 平成10年4月1日以後取得した建物...定額法のみ
- 平成10年3月31日以前に取得した建物及び建物以外...原則として定額法(但し、届出により定率法によることも可能)
又例外として使用可能期間が1年未満の資産や、取得価額が10万円未満の資産を購入するための費用は、全額必要経費とすることができます。
又取得価額が20万円未満の資産(前記の適用を受けたもの及び国外リース資産を除く)については、3年間で均等に必要経費に算入することができます。
借入金利子については、マンション購入の借入金に係る利子については、賃貸借開始前に発生したものはマンションの取得費となり、開始後の利子のみが必要経費となります。
立退料については、建物を譲渡する場合や建物を取り崩して敷地を譲渡する場合は、譲渡所得の計算上差し引くことになります。
専従者給与については、
- 青色申告者の場合...仕事の内容や従事の程度、他の使用人の給与の額などからみて、通常相当と認められる適正な金額として、予め届け出た金額の範囲内。
- 白色申告者の場合... 配偶者86万円 配偶者以外50万円
専従者給与を支払うにあたり留意すべき点は、その専従者給与を受けた規模はその金額の多少に関わらず、扶養親族には該当しなくなることです。よって、扶養控除の対象者とはなりません。
以上のことを参考にしていただき不動産所得の金額を算出して下さい。
最後にその他の控除について
1.損益通算
不動産所得の金額の計算上生じた損失(赤字)は、一定の順序により他の各種所得の金額(黒字)から控除することができます。ただし、その損失のうち土地等を取得するために要した負債の利子の額があるときは、その損失の金額のうちその利子の額に相当する部分の金額は損益通算の対象とはなりません。
2.医療費控除
自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合は、次の算式によって計算した金額を所得から差し引くことができます。
医療費控除額
(支払った医療費の額-保険金等で補てんされる額)-(10万円と「総所得金額の合計額の5%」のいずれか少ない方の金額)
★医療費控除の対象となるもの
○ 病気や身体障害者のリハビリのため、医者にかかった費用
○ 病気再発の危険性があり主治医に定期的に検査してもらうための診察料
○ 病気やケガの治療のために薬局で買った代金
○ 医師の処方箋に従い薬局で購入した漢方薬の代金
○ 子供が小さいため親が付き添って通院した場合の親の交通費 など
★医療費控除の対象とならないもの
○ 治療を目的としない健康診断や人間ドックの費用
○ しみ・しわをとるなどの美容整形の手術代
○ 海外旅行前に受けた予防接種の費用
○ 通院に自家用車を使った場合のガソリン代、駐車料金
○ 風の予防のために買ったうがい薬
○ 健康増進のために買ったビタミン剤や漢方薬の代金
○ 健康管理のため血圧計を購入した代金 など
以上のことを踏まえて確定申告がより有利に又スムーズに行くようがんばって下さい。
株式会社 京都ライフ 伏見店
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