知ればなるほど!確定申告!

2004年02月14日

長谷川公認会計士事務所 貝崎 謙一郎

 2月の定例セミナーでは青色申告、青色事業専従者給与、中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例、純損失の繰戻し還付、更正の請求、消費税、についてご説明いただきました。

1.青色申告制度

(1)青色申告ができる人

不動産所得、事業所得、山林所得のある人。

(2)承認申請手続き

次の期限までに「青色申告承認申請書」を税務署長に提出しなければなりません。

  • 新たに青色申告をする人(原則)・・・その年3月15日まで
  • その年1月16日以後新たに開業した人・・・開業の日から2ヶ月以内

(3)帳簿書類とその保存

青色申告の承認を受けている人は、正規の簿記の原則に従って取引を記録し、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければなりませんが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳等の帳簿を備え付けて簡易な簿記の方法によることもできます。
これらの帳簿書類等は、7年間(一定のものは5年間)保存しなければなりません。

(4)特典

青色申告の特典は数多くありますが、主なものは次のとおりです。

  • 青色申告特別控除
  • 青色事業専従者給与
  • 中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例
  • 貸倒引当金
  • 純損失の繰越控除、純損失の繰戻し還付

2.青色事業専従者給与

(1)青色事業専従者給与として認められる要件

  • 青色事業専従者に支払われた給与であること。
    ☆ 青色事業専従者とは、次の要件をいずれも満たす人をいいます。
    (イ)青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
    (ロ)その年12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
    (ハ)その事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を超えること。
    ただし、年の中途における開業等その事業がその年中を通じて営まれなかった場合等には、その事業に従事することができると認められる期間の1/2を超えること。
  • 届出書に記載されている方法により、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
  • 労務の対価として相当であると認められる金額であること。

(2)手続き

次の期限までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署長に提出しなければなりません。

  • 原則...その年3月15日まで
  • その年1月16日以後新たに事業を開始した人...開始の日から2ヶ月以内
  • その年1月16日以後新たに青色事業専従者を有することとなった場合...有することとなった日から2ヶ月以内

<記載事項>
青色事業専従者の氏名、その職務の内容、給与の金額、給与の支給期等

(3)変更の手続き

上記(2)の書類に記載した青色事業専従者給与の金額の基準を変更する場合には、遅滞なく、その変更する内容及びその理由等を記載した書類を税務署長に提出しなければなりません。

3.中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(措置法28条の2)

(1)内容

中小企業者に該当する青色申告書を提出する個人事業者が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)の取得等をして、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の用に供した場合、その供用した年に取得価額の全額を必要経費に算入します。
☆中小企業者とは、常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人をいいます。

(2)手続き

この特例の適用を受けるためには、確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付しなければなりませんが、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を記載し、かつ、その減価償却資産の明細を別途保管している場合には、明細書の添付は省略できます。

  • 取得価額30万円未満の減価償却資産について、この特例を適用していること。
  • 適用した減価償却資産の取得価額の合計額。
  • 適用した減価償却資産の明細を別途保管していること。

4.純損失の繰戻し還付

(1)内容

青色申告者については、平成15年に生じた純損失の金額を平成16年以降3年間に繰り越して控除することのほか、平成14年分についても青色申告書を提出している場合には、その純損失の金額の全部又は一部を平成14年分の課税所得金額から控除したところで平成14年分の所得税額を計算し直して、その差額の税額の還付を請求することができます。

(2)手続き

この規定の適用を受ける場合には、平成15年分の青色申告書をその提出期限までに提出するとともに、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」も提出しなければなりません。

(3)その他

平成15年中の廃業等のため、平成14年分に生じた純損失の金額を平成15年以降3年間に繰り越すことができなくなったときにおいても、平成14年分及び平成13年分について青色申告書を提出している場合に限り、その平成14年分に生じた純損失の金額を平成13年分に繰り戻すことができます。
この場合の手続きは、上記(2)と同様です。

5.更正の請求

(1)内容

確定申告書を提出した後、その申告書に記載した税額等に誤りがあったため、申告した税額等が実際より多かった場合には、誤った申告額の訂正を求めるための更正の請求をすることができます。

(2)対象者

申告書に記載した金額の計算が税法の定めるところに従っていなかったり、その計算に誤りがあるため、次の場合に該当する人。

  • 確定申告書の提出によって「納める税金」として記載した税額が過大であるとき。
  • 確定申告書に記載した「純損失等の金額」が過少であるとき、又は、確定申告書に「純損失等の金額」の記載がなかったとき。
  • 確定申告書に記載した「還付される税金」が過少であるとき、又は、確定申告書に「還付される税金」の記載がなかったとき。

(3)手続き

法定申告期限から1年以内に、その請求に係る更正前の税額等、その更正後の税額等、その更正の請求の理由等を記載した更正請求書を提出しなければなりません。
法定申告期限後に還付を受けるための申告をしている場合のその申告書に係る更正の請求の期限は、その申告書を提出した日から1年以内となります。

6.消費税

(1)平成15年度の改正点

  • 事業者免税点の引下げ
    納税義務が免除される基準期間における課税売上高の上限が1,000万円(現行3,000万円)に引き下げられます。
    基準期間における課税売上高が1,000万円を超えることとなった場合には、「消費税課税事業者届出書」を速やかに税務署長に提出しなければなりません。
  • 簡易課税制度の適用上限の引下げ
    簡易課税制度を適用することができる基準期間における課税売上高の上限が5,000万円(現行2億円)に引き下げられます。

□ これらの改正は、個人事業者の場合は平成17年分から適用されますが、平成17年分の基準期間は平成15年分となります。

(2)簡易課税制度選択の手続き

  • 原則
    その適用を受けようとする課税期間の開始日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署長に提出しなければなりません。
  • 経過措置
    個人事業者については、平成17年において新たに課税事業者となる事業者(課税事業者を選択している者は除きます。)は、平成17年中に「簡易課税制度選択届出書」を税務署長に提出すれば、平成17年分から簡易課税制度の適用を受けることができます。

株式会社 京都ライフ 企画管理部南営業所

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