平成18年度税制改正について

2006年02月09日

税理士法人総合経営 貝崎 謙一郎

 去る平成18年2月9日(木)、財産ドック(株)相談室において税理士法人 総合経営 税理士 貝崎 謙一郎氏を講師にお迎えして、セミナーが開催されました。今回のセミナーは現在国会に提出され、審議されている法案についてのものとなりました。

1、個人課税関係

・所得税・住民税の税率
 今回の改正では、所得税・住民税の税率が変わり、平成19年分以後の所得税については、所得の多い方→税率のUP、所得の少ない方→税率のDOWN
 平成19年度分以後の住民税については、所得の多い方→税率のDOWN、所得の少ない方→税率のUPというように、所得税、住民税のバランスの増減によって、個人の税金額に大きく差が出ないように配慮しています。

・定率減税の廃止
 定率減税は所得税については平成19年分から、住民税については平成19年度分から廃止されます。

・地震保険料控除の創設
 損害保険料控除が地震保険料控除に形を変えるもの。
 所得税については、最高5万円(平成19年分以後)、住民税については、最高2万5千円(平成20年度分以後)の控除を受けることができるようになります。

・耐震改修税額控除制度
 最近話題に上がっている、耐震問題についても考慮され、平成18年4月1日から平成20年12月31日までの間に、一定の区画において昭和56年5月31日以前(つまり耐震基準の改定以前)に建築された居住用家屋で耐震改修をした場合、所得税額から耐震改修工事費用の10%相当額(最高20万円)が控除できるようになります。

・物納制度
 相続税の納付は原則として現金による一括払いですが、一括払いが困難なら、分割払いも可能となっています(延納制度)。しかし、現金による支払い自体が困難な場合については、物納が認められています。
 今回の改正では、以下の3点、
1.境界で争ったり、抵当権のついているものなど管理処分するのに不適当なもの(物納不適格財産)や、無道路地、市街化調整区域内といった物納の優先順位の低いもの(物納劣後財産)の明確化。
2.物納申請について税務署長に対し、許可、却下の審査期間の設定(従来は期間の設定無し)。同時に納税者にも書類の提出、補正、廃材撤去等の期限の設定。
3.延納による納付が困難な場合には、申告期限から10年以内に限り、物納を選択することも可能になる。(平成18年4月1日以降に取得した財産にかかわる相続税について適応されます)
というように、従来より相続に関する時間の短縮、審査基準の明確化を図る内容が盛り込まれています。

2、不動産税制

・登録免許税
 売買による所有権の移転登記、所有権の信託の登記については、従来土地、家屋ともに特例措置が認められていましたが、平成18年4月1日からは、土地についてのみ認められることになります。

・不動産取得税
 住宅以外の家屋(店舗・事務所)の税率が平成18年4月1日からは従来の3%から3・5%にかわることになります。

・固定資産税
 平成18年1月1日から平成27年12月31日までの間に昭和57年1月1日以前からある住宅に対し一定の改修工事(一戸当たり工事費30万円以上)を行い、市町村にした場合、1~3年度分の固定資産税が2分の1減額されます。

3、法人税関係

・同族会社の役員報酬の一部損金不算入
 従来は同族会社の役員に支払われる給与のうち給与所得控除相当額は損金として額に算入され、控除の対象となっていました。つまり、法人化することで税金を少なくすることが出来ました。しかし、今回の改正では、給与所得控除額を法人所得に上乗せすることになり、結果として、税金が増えると言う形になります。ただし、
1.所得など(所得金額+損金の額に算入された役員給与の額)の直前3年間の平均額が800万円以下。
2.所得などの平均額が800万円超3000万円以下で、かつ、その平均額に占めるその役員給与の額の割合が50%以下。
に該当する場合は適応が除外されます。

・役員給与の損金算入
 役員に対して支給する給与のうち毎月一定の額を支給する給与に加え、ボーナスも損金算入が認められます。

・同族会社の留保金課税
 同族会社の留保金(会社の留保された所得)に対する控除額が
1.所得等の額×50%(大企業40%)
2.2000万円(定額基準額)
3.資本金×25%ー利益積立金額
4.自己資本率が30%に達するまでの金額(中小法人のみ)
の4つの基準額のうち、もっとも多い金額となります。

・交際費の損金不算入
 損金不算入となる交際費等の範囲から一人当たり5000円以下の飲食費(役職員間の飲食費を除く)が除外されます。

・小額減価償却資産の損金算入
 中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、全額損金算入を認める制度について、上限を年間300万円とした上で、適応期限が2年間延長されます。

 長くなりましたが、以上が今回の国会にて審議されております税制改正の案の一部になります。例年3月頃に国会にて可決されますので、法案の内容、従来との変更点などにご注意下さい。

株式会社 京都ライフ 企画管理部南営業所

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