資産運用と防衛の実践セミナー

2007年10月29日

(株)リクルート 野村 陽一
福井総合法律事務所 弁護士 福井 啓介
FP総合研究所 税理士 山本 和義

去る10月29日、『資産運用と防衛の実践セミナー~賃貸マンションオーナー様、投資家としてのあなたの常識は本当に「常識」ですか?~』と銘打って財産ドック(株)と(社)全国賃貸住宅経営協会京都府支部主催の合同セミナーが開催されました。
セミナーと同時進行で個別相談会場を設け、オーナー様の相談をお聞かせいただきました。以前よりご好評の展示会場にはJPMC、ALSOK、神西通信、KDDI各社一押しの商品のブースも出展し、多くのオーナー様が興味津々に見入られていました。

【第一部】
最新!京都府賃貸住宅市場動向と今後求められる賃貸住宅とは

(株)リクルート 野村 陽一

【第二部】
人には聞けない資産運用をめぐる法律知識を大公開!
~知っておかなくてはならない法律や、リスクの低減・転嫁におけるまで~

福井総合法律事務所 弁護士 福井 啓介

【第三部】
みんながやっている相続対策には危険がいっぱい
~相続対策の勘違い その対策で大丈夫?~

FP総合研究所 税理士 山本 和義

【第一部】
最新!京都府賃貸住宅市場動向と今後求められる賃貸住宅とは

(株)リクルート 野村 陽一

1.昨今の賃貸状況

昨今の賃貸状況として、東京に続き大阪・名古屋など大都市での不動産バブルが地方にも広がり、建設ラッシュによる供給過剰で空室が増加傾向にあります。特にファンド物件の地方進出も目立っており建設ラッシュを牽引しているといえます。
この流れは京都市も例外でなく、ここ最近ファンドという名前を耳にする事が多くなりました。

また、東京の都心部(特に六本木ヒルズに代表される六本木など)では高級ファミリーマーケットが存在し、大阪や名古屋の都心部でも高級ファミリーが建てられています。しかし、東京都心部とのブランド力、需要が大きく異なるため成功しているとはいいがたい状況の様です。
特に名古屋では大企業の本社移転(東京から名古屋へ)による需要が増加するとの予想が大きく外れ、高級ファミリー物件の売れ残りが見かけられます。

次に、どんなタイプの部屋の需要が高くなっているのでしょうか。
広めのシングル2LDKの需要が高まっているようです。
これは一世帯の平均人数の減少で、部屋数より一つ一つの部屋が大切になっているからです。また、晩婚化と少子化の影響も見受けられます。

2.京都市の賃貸住宅マーケット

■新築着工数
京都府・京都市の新築借家の着工数は1997年以降低下し、その後低い位置で安定していましたが、2004年以降は京都府・京都市共に上昇し、市内ファンド物件が増加傾向にあります。
2007年(1月~7月)の新築着工数は京都市だけが増加し、神戸市・大阪市・東京都23区では減少しています。

■賃貸住宅家賃推移
家賃のピークは1992年でそれ以降は減少し、2000年以降ほぼ横ばい、直近1~2年は上昇に転じるエリア・間取りがあるようです。直近1~2年の上昇は1部屋の広さが影響しており、2005年から顕著になっています。

■間取りタイプ
新築物件と既存物件を比較すると、新築物件は1K、1DK、1LDKが多く、またワンルーム及びファミリータイプが少なくなっています。
しかしお客様の反響としては2LDK、3LDKといったファミリータイプのシェアが高くなっており、世帯数が少なくなった分、リビングダイニングキッチンの様な、「広い共用の部屋」が求められています。

3.求められる住宅とは

単身者向け:
少子化の影響で若年層のマーケットは縮小傾向にありますが、単身者の高齢化(晩婚化、離婚の増加、単身高齢者により)で単身マーケットは拡大傾向にあります。
今まで単身マーケットといえば若年層がターゲットでしたが、今後は若年+中高年へと変化します。
間取りのニーズもワンルームから1K・1DK・1LDKへと変化します。

ファミリー向け:
賃貸では大型ファミリータイプ(4LDK、5LDK等)は少ないので大型ファミリータイプが大きくだぶつくことはありませんが、一世帯あたり人数の減少(核家族化、少子化影響)や子どもなし世帯の増加が進み、狭いK、DKタイプは需要の減少にあります。部屋数の多さよりも、LDKタイプであることが求められます

【家族構成の変化の対応】
2014年には4人に1人が65歳以上になり、「賃貸住宅での高齢者は入居が出来ない」という意識の改革が必要です。外国人マーケットの拡大、ペット可マンションも今後の市場に大きな変化をもたらすでしょう。

4.今後の賃貸住宅経営について

時代やユーザーの思考に合った商品を作ることはとても大切です。どのような商品をユーザーが求めているのか、ユーザーの求めているものに商品は見合っているでしょうか。 『人が入りたい部屋』を作ることが『満足度が高く人が出にくい部屋』(退去抑制策・・入居してからのサービス等)となります。

今後は長く入居をしてもらい、退去を減らすことが空室対策の第一歩となります。そのためにも市場動向をしっかり把握することがとても大切です。


【第二部】
人には聞けない資産運用をめぐる法律知識を大公開!
~知っておかなくてはならない法律や、リスクの低減・転嫁におけるまで~

福井総合法律事務所 弁護士 福井 啓介

現在、京都の弁護士は400人を超え全国的に多く、2006年12月1日時点での日本における弁護士登録数は、23,103名にのぼります。しかし、大都市へ集中(東京都の登録数だけで約1000人)しているため、地方との格差が大きくなっています。また、法律の改正等により今後一層、弁護士も勉強をしていかなければなりません。

今回のセミナーでは不動産賃貸業でメインとなる法律である借地借家法、民法、そして消費者契約法、さらに最近では特に必要となってきた個人情報保護法について簡単にご説明いたします。

1.借地借家法

平成4年8月1日に施行され、もともと2つだった借地法と借家法を1つにした法律です。不動産賃貸業にとって、基本的な法律であり、契約者保護の面が強い法律です。

■借地借家法の重要規定

  • 期間満了の時に更新拒絶するには、期日の6ヶ月以上前までに拒絶の通知が必要(第26条)
  • 更新拒絶には明渡しの正当事由が必要(28条)・・・戦後の家の足りない時代の背景がいまだに色濃く残っており、全ての人が恵まれた時代になれば無くなるといわれています。
  • 借主は、賃貸借契約をして建物の引渡しを受けておれば、貸主が第三者に家を売っても賃借権を主張できるか(31条)
  • 賃料の増減額の請求(32条)
  • 居住用の建物の場合で、相続人のいない借主が死亡した時には、内縁関係にあった同居人が賃貸借を相続することが出来る(36条)
  • 一定期間経過後に必ず契約を終了させることができる定期借家制度の規定(38条)

※(1)~(5)番までは家主様にとって一方的で不利益な法律であります。その反面、(6)は家主様にとって不利益にならないように規定されています。

2.民法

借地借家法の母親的な法律です

  • 借主は、貸主の所有する建物を借りるので、自分の家以上に適切に注意を払って使用すべし(善管注意義務)(400条)
  • 使用目的(居住用・店舗用等)の範囲での使用(646条、594条)
  • 貸主は、建物に破損などがある場合は貸主の負担で必要な修繕をしなければならない(606条)
  • 借主は、建物を転貸したり賃借権を第三者に譲渡する時は貸主の承諾を得なければならない(612条)
  • 賃料不払いは、債務不履行となり契約を解除される(412条)
  • 建物が競売にかかって貸主が変わった場合には、抵当権が設定されたときより後に借りた借主は契約期間満了前でも明渡さなければならない(177条)...6ヶ月間は住めるが6ヵ月後は出て行かなければならない
  • 社会正義に反する取り決めは、借主が了解しても公序良俗に反するものとして無効になる(90条)

3.消費者契約法(平成13年4月1日施行)

消費者(契約弱者)保護を目的とし悪徳商法対策に作られた法律だと考えられます。しかしながら、現在では悪徳商法への適用だけでなく、あらゆる契約へ浸透しています。また、消費者とは個人のことを指し、法人には適用されません。

  • 建物や契約内容について事実と異なる内容を告げたり、敢えて借主に不利益な事実を告げなかったため、借主が誤認して契約を締結したようなときには、契約を取り消される場合がある(4条)
  • 賃料支払いの遅延などで損害金を取る時は、利率をどの様に定めても年14.6%(日歩4銭)を超える部分は無効(9条)・・・家賃を滞納したからといって損害金として2倍の家賃をもらうというのはダメ
  • 他の損害賠償規定についても、その平均損害額を超える部分は無効(9条)・・・一般的な金額を超えたらダメ
  • 民法の規定に比較して借主に不利益となる契約条項は、それが信義則に反する場合は無効となる(10条)・・・賭博を行なうために金銭を借用させたり、いかがわしい所で働かせるために金銭を渡したりなどは信義則に反します

4.個人情報保護法(平成15年5月30日施行)

施行により個人情報に対して多くの方が敏感になってきています。個人情報の取り扱いには細心の注意を払わなければなりません。毎日のようにニュースで漏洩や紛失を目にする時代になりました。個人情報保護法についてのポイントは下記の4つです。

  • 利用目的の明確化
  • 利用目的以外の利用禁止
  • 個人情報漏洩防止のための監督義務
  • 本人からの要求による情報開示義務

5.家主様より相談を受ける事項

  • 賃借人行方不明について・・・保証人へ連絡をして、その人の手で処分を行なってもらうこと。
  • 家賃滞納者へのロックアウト特約の効力について...生活権や生存権での裁判が多く行なわれており、実質行なうのは法律上無理があります。
  • 明渡しの正当事由とは?
    • 家屋が古くなった
    • 使用していない
    • 他の賃借人が出ている

※お金を払うことにより、借地借家法、社会的猶予性、土地利用の必要性も正当事由の一つとなります。

マンション経営をしていれば、少なからず借主や近隣とのトラブルが発生するでしょう。敷金、保証金、更新料をめぐる問題、賃料不払い等さまざまな問題に対応していかなければなりません。

借地借家法、民法、消費者契約法、個人情報保護法など多くの法律のなかで借主は保護されています。
マスメディアでも多く取り上げられており、想像以上に消費者はたくさんの知識をもっています。
こうした中で家主様だけでは解決が難しいケースもあると思います。今後は弁護士・不動産会社等の活用がとても必要になることでしょう。


【第三部】
みんながやっている相続対策には危険がいっぱい
~相続対策の勘違い その対策で大丈夫?~

FP総合研究所 税理士 山本 和義

 平成17年分国税庁の税務統計によれば、相続財産に占める土地等の割合は50.4%、現預金の割合は20.5%となっています。相続税の税率は10%~50%で、大資産家にとっては相続税を現金で一時に納付することは困難と思われます。

【不動産の相続対策】
特に不動産が大半を占める地主に相続が発生すると、相続財産である土地等を換金処分(更地のままの状態)、又は物納して納税問題を図ることが多いと思われます。

1.よくある事例

相続人が相続税の納税に困らないよう換金処分しやすい土地等を確保しておき、駐車場などとして使用し低利用で借地権など権利関係が発生しないように工夫しているようです。

しかし、そのような土地等は優良な土地等であり、本来なら相続して保有したり、活用するのに適したものと思われます。このような土地等を相続の都度、売却したり物納に充てたりしていると優良な財産を失い、換金処分困難な土地等や低収益の土地ばかりが残ってしまうという事態を起こしかねません

2.相続対策とは、「優良な財産」を残すものでなければなりません

相続対策=「節税対策」ではなく、「納税資金対策」も車の車輪の如くしっかり実行しておくことが肝心です。
相続対策には「分割対策(争続対策)」、「納税資金対策」が重要で、節税対策はそれらの対策を実行することに伴い付随的に効果が期待出来るものと位置づけておくことが無難であろうと思います。

なぜなら税制は毎年改正され、今、効果的な節税対策も相続発生時の税法を適用すると、それほど効果がなかったということにもなりかねません。

3.不動産管理会社の設立

■不動産会社の活用にあたって多くみられる誤り

  • 不動産管理会社に不動産所有者である推定被相続人やその配偶者が資本の大半を出資している。
  • 所得分散を目的としながら、不動産所有者が不動産管理会社から多額の給与を受けている。
  • 個人所有の土地を不動産管理会社が建物の所有を目的に賃借している場合で、適正な権利金または相当の地代の支払いもしていないのに、「土地の無償返還に関する届出書」を提出していない。
  • 法人が土地を個人から借り受けていても、地代の支払いがなければ、「土地の無償返還に関する届出書」を提出していなくても借地権の課税問題は生じないと思っている。
  • 住宅家賃は消費税法上非課税売上に該当するので、アパート等を建築してもその建物等の仕入れ税入額を受けることが出来ないので消費税は還付されないと思っている。

■法人設立の効果

毎年の所得税等の軽減
 不動産会社を通じて所得を分散させることにより所得金額を押し下げ、税率区分の引き下げを図ります。

相続財産の増加の防止
 オーナー個人に入るべき所得の一部を法人へ分散化させることにより、オーナー個人の金融資産の増加を防止し、相続財産の膨張を防ぎます。

納税資金の準備
 法人に所得を移転させたら、その所得を給与という形で分配します。

給与については、その受給者に対して所得税が課されますが、給与所得には給与所得控除(概算経費)があるため、課税対象が小さくなります。 このとき、給与の支給先をオーナーではなくその相続人とすれば、将来の相続税の納税資金準備にも役立ちます。

4.アパート建築の場合、名義の選択に注意する

アパート・マンションを建築する場合、誰の名義で建築するかの選択は重要です。
相続対策において常に推定相続人の名義で建築することが有利とは言えません。この節税対策は建築直後におこるものであり、相続発生時のものではありません。

推定相続人が建築主になるケースで相続税の大きな効果が期待出来るのは、建物の完成後数年内に相続が発生する場合に限られると思います。
相続の発生がかなり先と予想される場合は法人で建築することを検討するとよいでしょう
法人で建築するときの留意点としては、株主を父とする方法と子とする方法のいずれかによって、土地賃借の選択方法や得られる効果が異なりますので総合的に判断する必要があります。
若くて元気な方が建築主となり相続対策を行い、相続が発生するのはいつになるのでしょうか。

【金融資産の相続対策】

1.その贈与は税務調査で否認される
相続税の税務調査の実態
 相続税の税務調査は金融資産(預金・有価証券)の確認となります。
金融資産は、簡単に名義を換えられるからであり、税務署においても相続というタイミングで最終的な税(所得税・贈与税)の精算を行おうと考えているからです。

分割管理...子の名義で預金口座を作り実質は親が管理している預金(名義預金)は贈与と考えられがちですが、これがまさに税務調査で否認される金融資産です。
分割管理は贈与ではなく相続財産となり、以前に贈与税を支払ったからといって贈与と認められず、贈与税(時効6年経った場合)と相続税を払わなければならなくなってしまうこともしばしば見受けられるようです。
※名義預金として判定される可能性の高い預貯金
・嫁いだ娘の旧姓のまま放置している預貯金。
・銀行への届出印が三文判で、名義人本人が管理処分している預貯金の届出印と異なる場合。
・名義人の住所や勤務地と遠くはなれた親元の近くの金融機関への預貯金・定期預金等の満期・預け替えなどの手続きが本人の直筆でなく親が行っている預貯金。

2.個人年金保険の節税効果
・生命保険金を全額一時に受け取る場合=評価上減額を要しません。
・年金方式により支給を受ける場合=支払いを受ける権利として評価することになるため、一時に受け取る場合とは評価が異なります。
 受け取った金額を預貯金や有価証券等で運用したとすれば、その利子や配当金の額は、前者と後者とでは、経済的な価値の相違は明らかです。
そこで、価値の相違を調整するため相続税法24条第1項第1号では、その残存期間に応じてそれぞれ次のように上乗せされた額で評価することとしています。
この評価方法はその残存期間に応じ、「その残存期間に受けるべき給付金額の総額」に「割合」を乗じて計算します。ただし、計算した金額は、1年間に受けるべき金額の15倍相当額を限度とします。
なお、相続税法12条に定める死亡保険に対する相続税の非課税額は、この評価方法より求められた金額から控除することとなります。

 しかし、個人年金保険での節税対策効果は、将来において相続税法24条第1項第1号及び、相続税法12条が改正されない場合にのみ期待出来ます。
しかし、24条は近い将来改正されるものと予想されていますので、過度の節税効果を期待しない方がよいでしょう。


 以上、盛況のうちにセミナーを終える事が出来ました。今回ご出席頂けなかったオーナー様も是非次回の機会にご出席頂けましたら幸いです。
セミナーに関する疑問やご質問等がございましたら、お気軽にお問合せください。

株式会社 京都ライフ 企画管理部北営業所

一覧に戻る

資産運用のご相談は
こちらから

財産ドック株式会社

財産ドック株式会社

〒604-8186
京都市中京区御池通烏丸東入梅屋町361-1 アーバネックス御池ビル東館3階 財産ドック事務局(京都ライフ本社内)

TEL075-256-8240

FAX075-344-4664

営業時間9:30~19:00 年中無休(盆・正月を除く)

ご相談はこちらから