確定申告直前相談会

2007年02月07日

税理士法人FP総合研究所 塚本 和美

 2月度セミナーは、税理士法人 FP総合研究所 税理士の塚本和美氏より「確定申告直前相談会」をテーマに【所得税等確定申告チェックシート】、【不動産賃貸オーナーのための所得税等の確定申告の留意点】の2つの冊子をいただき、これに沿ってわかり易く講演していただきました。

第一部 【所得税等確定申告】

I.税制改正のポイント(平成17年または平成18年から適用開始分)
 個人に係る税制改正で、譲渡所得を除く所得税について平成17年または平成18年以後に適用開始となる税制改正の主な内容は以下のようになっています。

・平成17年分(1/1~12/31)以後の所得税、平成18年度(4/1~3/31)の住民税から改正される主な内容

1.青色申告特別控除について見直しが行われました。

 青色申告特別控除制度は、青色申告の一層の普及・奨励を図り適正な記帳慣行を確立し申告納税制度の実を上げるとともに、

  • 正規の簿記の原則に従い記録している方は55万円の特別控除
  • 簡易な簿記の方法により記録している方は45万円の特別控除
  • それ以外の方は10万円の特別控除

が認められていました。

 平成17年分以降は青色申告特別控除の見直しが行われ

  • 正規の簿記の原則に従い記録している方は55万円→65万円
  • 簡易な簿記の方法により記録している方の控除→廃止
  • それ以外の方→従前どおり10万円の特別控除

となりました。

2.公的年金等控除について、縮減等の見直しが行われました。

 平成17年分から、雑所得の金額の計算上、公的年金等の収入金額から控除される公的年金控除のうち年齢65歳以上の方に対して上乗せされている措置が廃止されました。併せて老年者特別加算として年齢65歳以上の方の公的年金等控除の最低保障額を50万円加算し、120万円とする特別措置が講じられました。

3.老年者控除が廃止されました。

 老年者控除については、平成16年分をもって廃止されました。
 老年者控除では、年齢65歳以上で合計所得額が1千万円以下の場合は、50万円を所得金額から控除することができました。この控除の廃止に伴い、平成17年分の給与所得の源泉徴収票及び公的年金等の源泉徴収票から「老年者」の欄が削除されました。

・平成18年分(1/1~12/31)以後の所得税、平成19年度(4/1~3/31)の住民税から改正される主な内容
定率減税額の縮減が行われます。
 平成18年分以後の所得税および住民税について、定率減税の額が以下のように引き下げられます。

[改正前]所得税平成17年分...所得税額20%相当額(25万円を限度)
個人住民税平成17年6月~個人住民税額の15%相当額(4万円を限度)

↓↓↓

[改正後]所得税平成18年分...所得税額の10%相当額(12万5千円を限度)
個人住民税平成18年6月~個人住民税額の7.5%相当額(2万円を限度)

II.収入金額の申告に係るチェックポイントは以下のとおりです。

1.上場株式などの譲渡について

 上場株式等を平成15年1月1日~平成19年12月31日までの間に証券業者への売委託などで一定の譲渡をした場合、1年間の譲渡損益を合計し利益が生じていれば、その金額に対して申告分離課税として10%(所得税7%、住民税3%)が課税されることになります。
 また、平成15年以降は、1年間の譲渡損益の合計が損失となっている場合、一定の要件を満たすことによって、翌年以降3年間繰り越すことができます。

[繰越控除の適用条件]
繰越控除は、(1)上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき、その上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書などの添付がある確定申告書を提出し、かつ、(2)その後において連続して確定申告書を提出している場合であり、(3)この繰越控除を受けようとする年分の確定申告書にこの繰越控除を受ける金額に関する明細書などの添付がある場合に限られます。

[計算方法]
(上場株式等の譲渡所得の金額)=売却価額-(取得費+譲渡費用)

※注意1
相続・贈与等で資産を取得した場合、受贈者がその資産を取得するために通常必要と認められる費用(例えば、不動産登記費用や不動産取得税、ゴルフ会員権の名義書換手数料、株式の名義書換手数料等)を支出しているときは、必要経費に算入されたものを除いて、譲渡所得の計算上、取得費に算入することが出来る旨の通達改正が行われている点に注意が必要です。

※注意2
上場株式の譲渡については、証券会社の特定口座内において売買していれば、その結果を「年間取引報告書」において知らせてくれます。この報告書には、その証券会社における特定口座内の年間損益計算を合計額で記載してあります。したがって、確定申告書の作成については、この資料をもとに簡単に作成することができます。
 一方、特定口座に入れていない一般口座の上場株式等を売買している場合には、この「年間取引報告書」には記載されてきません。したがって、日常的に送付されてくる取引明細書をもとに損益計算、及び申告をしなければなりません。一般口座の上場株式等の譲渡には充分注意が必要です。

2.未上場会社および上場会社の配当収入について

(1)未上場会社の場合

 未上場株式等の配当は、以下のような課税関係になります。ただし、35%源泉分離課税制度は平成15年3月31日をもって廃止されています。

・小額配当の場合...確定申告不要、中間配当ありなら5万円以下、中間配当なしなら10万円以下
・その他の場合...確定申告必要(総合課税)、中間配当ありなら5万円超、中間配当なしなら10万円超
 いずれも源泉徴収率所得税は20%。
 住民税は、小額配当の場合であっても平成15年分以降は課税となります(要申告)。

(2)上場会社の場合

 一定の上場株式等の配当を受け取った場合の税制も、平成15年4月1日以降改正されています。
 改正前の配当の課税方法は原則総合課税で、配当金額が小額の場合(1銘柄あたりの年間配当金額が10万円以下の場合)に限り、確定申告義務が免除されていました。

 しかし、改正により、配当金額に関わらず確定申告義務が免除されることになりました(大株主を除く)。
ただし、申告するかしないかは納税者の任意ですので、確定申告をした方が有利な場合には確定申告をすることができます(総合課税、配当控除あり)。

※1 配当の確定申告について
 配当を確定申告する場合、その銘柄を取得するために要した負債利子を控除して配当所得を計算することになります。しかし、確定申告をしないことを選択した配当(一回に受ける配当ごと)については、配当所得の計算上、その配当に係る負債利子の控除はできないことになります。また、その配当に係る配当控除の適用もありませんので注意が必要です。

※2 配当控除の適用がないもの
 配当金について確定申告した場合には、配当控除の適用により税負担が軽くなりますが、不動産投資信託(J-REIT)や外国株式の配当金については配当控除の適用がありません。

※3 配当控除の適用がない理由
 株式配当は、企業が獲得した収益の分配として株主が受けるものですが、企業の収益に対しては既に法人税課税がなされており、その課税済み利益の分配金(配当金)を受け取った際にさらに課税されると同一所得に対して二重に課税されることとなることから、二重課税回避のため、受取配当に対し一定の控除をすることとしています。この一定の控除が配当控除です。
 しかし、不動産投資信託については、獲得した収益を配当金として分配する場合にその配当部分については課税しないこととしているため、二重課税の問題は生じません。また、外国株式の発行法人に係る所得は日本では課税されていないことから、二重課税にはならないことが理由です。

3.寡婦(夫)控除、勤労学生控除について

(1)寡婦(夫)控除

 本人が寡婦又は寡夫であるときは、27万円(特定の寡婦は35万円)を所得金額から控除することができます。
なお、寡婦(夫)とは、以下の条件を満たす方をいいます。

[寡婦]死別・離婚のとき、扶養親族要件として、扶養親族または総所得金額等が38万円以下の生計を一にする子を有する場合。また死別のとき、合計所得金額が500万円以下なら扶養親族要件は不要。
[寡夫]死別・離婚のとき、総所得金額等が38万円以下の生計を一にする子を有し、合計所得金額が500万円以下の場合。
尚、特定の寡婦とは、上記寡婦のうち、合計所得金額が500万円以下であり、かつ扶養親族である子を有する者をいいます。

(2)勤労学生控除

 本人が勤労学生であるときは、27万円を所得金額から控除することができます。勤労学生とは、自己の勤労により給与所得等の合計所得金額が65万円以下であり、かつ、自己の勤労によらない所得が10万円以下である特定の学校の学生等をいいます。

[適用要件]確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載するとともに、専修学校の長等から交付を受けた一定の証明書を添付する必要があります。

第二部【不動産賃貸オーナーのための所得税等の確定申告の留意点】

 次に不動産賃貸オーナー様向けに、所得税等の確定申告の留意点について減価償却制度、修繕費にポイントを置いて解説をしていただきました。

1.減価償却制度

 建物、機械、器具及び備品などの減価償却資産は、毎年使用することによって物理的にも経済的にもその価値が減少します。その価値の減少は、毎年の収入に貢献しているものであることから、これらの減価償却資産を取得するために支出した金額は、その支出をした年分だけの必要経費とすることは認められます。その減価償却資産が有効に業務の用に供される期間の経費として配分する方法を減価償却といいます。

(1)少額の減価償却資産の取り扱い(エアコン・給湯器等)

 少額の資産については、通常の減価償却を行わないことも認められています。ただし、少額減価償却資産等に該当するかは、通常1単位として取引される単位により判定することが必要です。

・少額減価償却資産・・・
取得金額10万円未満のものについては、その事業の用に供した年の必要経費に算入することができます。

・一括償却資産・・・
取得金額20万円未満ものについては、3年にわたって必要経費に算入することができます。

・少額資産に係る取得価格の損金算入特例
 一定の中小企業者に該当する青色申告者が、平成15年4月1日から平成20年3月31日までの期間内に取得価格が30万円未満の減価償却資産の取得等をして、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の用に供した場合には、全額を必要経費に算入することができます。
 ただし、平成18年4月1日以降は、その年(事業年度)に取得などした減価償却資産については、取得価格が10万円未満である場合はこの特例の対象外となるほか、少額減価償却資産の合計額が300万円を超える部分の資産については適用されないこととされます。

(2)平成19年度税制改正

 平成19年度税制改正において、減価償却資産について、減価償却制度を以下のように見直すこととします。

・残存価額の廃止
 平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産について、残存価額を廃止することとしました。この場合の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数とされます。

・償却可能限度額の廃止
(イ)平成19年4月1日以降に取得をする減価償却資産については、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できるように改正されます。
 定率法を採用している場合には、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算することとされます。これにより、定率法を採用している場合にも、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることに改正されます。
 この一定の金額とは、耐用年数から経過年数を控除した期間内に、その時の帳簿価額を均等償却すると仮定して計算した金額とされますが、納税者の事務負担を考慮し、取得価額に一定の割合を乗じて計算できるように、モデルケース(初年度は期首に取得し、その後に減価償却費の過不足額がないケース)を用いて、耐用年数ごとに一定の割合を定めておくこととなりました。

(ロ)平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能限度額(所得価額の95%)まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却ができることに改正されます。

2.修繕費

 事業用の建物、構築物など固定資産の修理、維持管理に通常要する費用は、必要経費に算入されます。しかし、事業用資産のために支出した費用であっても、資産の価値を増加させるような支出や、その資産の使用可能期間を延長するような支出は「資本的支出」として資産計上し、減価償却の方法をしていくことになります。なお、この場合でも1回の支出が20万円未満であれば、その内容にかかわらず修繕費として必要経費に算入できます。

※修繕費に含まれるもの
(1)建物などの塗装の塗り替え、床や壁の修理、畳の表替えなど、ある程度定期的に発生する費用
(2)破損ガラスの取り替え、障子、ふすまの張り替えなどに要する費用等

※資本的支出の例示
(1)建物の避難階段の取付等物理的に付加された部分に係る金額
(2)用途変更のための模様替え・改造・改装に直接要した金額等

 そして最後に確定申告、その他税務についての個別相談の時間をとっていただき、各参加オーナー様も満足していただけたかと思います。今後もこのような勉強会を開催していく予定ですので、ご興味がございましたら是非お気軽な気持ちでご参加ください。

株式会社 京都ライフ 四条店

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