またまた始まった地価下落
2008年09月22日
(株)関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博
去る9月22日、株式会社関西総合鑑定所 代表取締役 不動産鑑定士 細見正博氏より「またまた始まった地価下落」というテーマで講演して頂きました。
最近の地価動向について
平成20年7月1日時点の都道府県地価調査によると、平成19年7月以降の1年間の地価は、住宅地・商業地ともに全国平均では下落となった。三大都市圏内においては、三年連続しての上昇となったものの上昇幅が大幅に縮小し、地方圏においては、下落幅はわずかに縮小したものの、依然として下落が継続した。
また、三大都市圏・地方ブロック中心都市の都心部でこれまで高い上昇を示していた地点においても、一部で下落に転じ上昇基調の鈍化が顕著となるなど、今回の都道府県地価調査の結果を総じて見れば、これまでの地価の持ち直し傾向に陰りが見られた。
三大都市圏・地方ブロック中心都市においては、これまでの取引価格・賃料等の上昇、投資環境の変化、最近の景気の減速等を背景とする需給バランスの調整の結果、上昇幅が縮小した地点が多く見られた。
とりわけ、前回高い上昇を示した地点の大半では上昇幅が大幅に縮小し、この傾向は今年に入って特に顕著となった。前回高い上昇を示した地点の中には、今年に入り下落に転じた地点も少なからず見られ、さらに一部の地点では通年で見ても下落となった。
その他の地方圏においては、市街地整備・交通基盤整備などの取り組みによって利便性・収益性の向上等を反映し上昇した地点・又は横ばいの地点が見られ、地方圏全体としては下落地点数の減少が見られるものの、依然として下落地点が大半を占めた。また、下落地点のうち約半数で下落幅が縮小したものの、下落幅が拡大した地点は増加した。
大阪圏
(1)住宅地
・大阪圏では、平均で1.0%上昇し、前回からは上昇幅が鈍化した。
・大阪市、京都市、神戸市といった中心都市では、需給バランスの調整や投資環境の変化等による不動産市場の停滞感を背景に、昨年の上昇傾向からいずれも平均で1%未満のわずかな上昇となった。
・京都市近隣では向日市、宇治市、長岡京市等が3年連続して平均で上昇となった。また木津川市では大規模商業施設の進出もあり17年ぶりに上昇に転じた。
(2)商業地
・大阪圏では平均で2.8%の上昇となり、前回からは上昇幅が鈍化した。
・京都市では、急激な地価上昇への警戒感等を背景とする需給バランスの調整による不動産市場の停滞によって平均で上昇幅が大幅に縮小し、特に中心5区(北区・上京区・左京区・中京区・下京区)の上昇率はいずれの区でも平均で3%未満まで減少した。さらに周辺区の山科区及び伏見区においては、わずかな下落に転じた。
しかし、京都市の中心商業地である四条通り沿いの地域では、依然として10%程度の上昇を示す地点も見られて、京都市中心部においても物件の選別が顕著になった。半期ごとの地価動向をみると、今年に入って横ばい傾向となった。
平成20年京都府地価調査結果の特徴
1.全般的な特徴
・京都府域における対前年平均変動率は、
住宅地:前年の1.0%上昇から-0.2%と再び下落に転じ、
商業地:前年の4.7%の上昇から-0.1%と3年ぶりに下落に転じた。
・工業地では上昇の幅が縮小した。
・全用途の平均変動率が、前年の1.6%上昇から-0.3%と下落に転じた。
・継続調査地点453地点のうち、上昇地点は前年の219地点(48%)から139地点(31%)となり、約7割の地点が横ばいないし下落となった。
2.住宅地及び商業地についての地域別特徴
地域別平均変動率で見ると、京都市・京都市近郊地域で住宅地・商業地ともに継続して上昇したものの、上昇率は大幅に縮小した。
京都市を中心5区と周辺区に分けて見ると、中心5区の商業地では昨年2ケタの上昇率が2%弱に大幅に縮小した。
周辺区では下落に転じた区も現れた。その他の地域では、山城地域の住宅地が横ばいから上昇に転じた他は、住宅地・商業地ともに全て下落となっているが、下落率は概ね昨年より縮小している。
地価変動の要因
住宅地
・京都市地域では近年の急激な地価上昇や建築資材の高騰などによる物件の価格上昇や、景気の先行き不透明感が増している状況から、買い控え等需要が潜在化する傾向が生じたため上昇率が減少したと考えられる。
・京都市以南では、京都市内などに比べ地価が相対的に低いことなどから、利便性や住環境に優れた地域を中心に需要が比較的堅調なため京都市内に比べ上昇率の縮小幅は少なかったと考えられる。
商業地
・京都市では、昨年夏以降、サブプライムローン問題の表面化による不動産融資の縮小や審査の厳格化、金融商品取引法改正による不動産投資への規制強化と景気の減速感が強まり需要の減少が見られたため上昇率が大幅に縮小したと見られる。
ただし、京都市の観光客数が7年連続で過去最高となったことなどを背景に、東山区では店舗需要が依然高く5%弱の上昇率を維持したと考えられる。
・京都市以南では、駅前の区画整理事業などにより商業施設が進出し、繁華性が増した地域や京都市近郊地域などでは引き続き上昇したが上昇幅は縮小した。
しかし、それ以外の地域では、依然、下落傾向が続いている。
現状、土地や建物をお持ちの方、又は今後売却、購入をお考えのオーナー様にとっては頭の痛いお話だと思います。
今後の地価動向の先行きについては、景気、金利の動向、需給バランスの動向、内外投資家の動向の影響などに着目が必要です。
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