境界紛争解決のタイミング

2008年07月11日

平塚泉土地家屋調査士事務所 土地家屋調査士 平塚 泉

 「あなたの大事な資産である土地の境界線は本当にそこですか?思い込みではなく、しっかりと認められた境界線でしょうか?」
この質問に大丈夫だ!と自信を持って答えられる方は意外と少ないのではないでしょうか。昔からお世話になり親しくされている先生方に任せていれば、果たして本当に大丈夫なのでしょうか?

 後世に亘り、受け継いでいかれる大事な資産から起こる境界紛争について、その成り立ちから見ていきましょう。
そもそも土地に境界線なるものが出来たのは明治時代。それまで土地はそこに住む人達の共有財産と考えられている地域がほとんどであり、個人の財産であるという文化自体が根付いていませんでした。

 江戸時代までは、今で言う税金に代わる国への納め物は皆様ご存知の通り、農作物である主に米であり、その年々によって収穫量が違う為、国の財政安定と個別の明確な年貢量確定に向け、「原始筆界形成の地租改正事業」により個人に土地を割り振ることを実行に移しました。
ここで初めて、土地の個人所有という文化を根付かせ、売買交換を自由にできるものとしました。これにより、売買・交換・相続を繰り返してきたことで現在の所有財産へと確立されてゆきました。

 それでは現在、私たちの時代に何が問題となっているのでしょうか?その紛争が起こるメカニズムを見ていきましょう。

境界線紛争となる主な原因

境界紛争の主な原因は、次の6つに集約されます。

  • 筆界(公法上の境界)と所有権界(私法上の境界)の混同
  • 筆界の根拠と長年の占有状況
  • 各種工事による確認不足
  • 歴代の懸念事項
  • 感情的な紛争の持込
  • 土地の所有欲のせめぎ合い

 土地の境界とは「筆界」と「所有権界」に分類することができます。では、その2つの境界の違いとはどういった点なのでしょうか。

筆界

 「筆界(ひっかい)」とは、法務局に登記されている地番と地番の境のことで、個人の意思で勝手に変更することはできません。
筆界は法務局に備え付けられている図面で確認することができ、「公法上の境界」とも呼ばれます。

所有権界

 「所有権界(しょゆうけんかい)」とは、土地の所有権の及ぶ範囲の境を意味し、お隣さんとの話し合いで自由に決めることができます。
所有権界は筆界と異なり、その境界線の認識は話し合いをした当人同士の間にしかありませんので「私法上の境界」とも呼ばれます。

例えば右図のように、登記されている境界線(筆界)のままだと土地の使い勝手が悪いので、お隣さんと話し合いお互いに使いやすいように境界を変更したとしましょう。
このとき、変更結果をまだ登記(分筆・所有権移転)していない状態の境界が所有権界です。

 このように地租改正以降の個人の自由な土地のやりとりによって、例のような「筆界」と「所有権界」が一致していない状態がそのまま放置され
・お互いが長い間占有を継続してきたり、
・宅地としての利用の上で境界線に壁を作る際に正確な確認を怠り、工事担当者を信用して任せっきりしたことで、
実際(登記上)とは違う境界へと変化を遂げてきました。

 しかし、後に第三者に売買する場合や本人が亡くなり相続が発生した等により、多大な時間が経過してから改めて土地の形状・境界を見直す際、当時のこういったやりとりを知らない現在の所有者同士が「筆界」と「所有権界」を混同させてしまっていることが、境界紛争に発展してきました。
ですから、お隣との境界を変更した場合には登記(分筆・所有権移転)をして、「所有権界」と「筆界」とを一致させておくことが大きなポイントとなります。

境界紛争解決のタイミング

 やはり境界線問題が判明した時点が解決すべきタイミングだといえます。
下記のように土地について何らかのアクションを起こそうとした際にお隣さんと境界線についての意見が食い違う事が判明するのですから、境界線問題を解決し、特定させなくてはそのアクションを行うことは難しいといえます。

  • 建築工事の際に表面化
  • 相続関係の際に表面化
  • 売却等の際に表面化
  • 銀行などの借り入れ担保化の為
  • 官公庁の事業により推進化
  • 自主的な管理の為に必要化

具体的境界紛争の解決手段として

境界紛争の解決手段としては下記が挙げられます。

  • 当事者同士での解決
  • 当事者一方で関係官公庁の窓口相談を利用
  • 当事者と土地家屋調査士(認定調査士含む)により筆界を特定
  • 当事者で不動産関係者、工務店関係者、法律関連職等に相談
  • 当事者一方で筆界特定制度の利用(法務局)
  • 当事者でADR機関を利用(境界問題解決支援センター等)
  • 当事者で調停・仲裁機関を利用
  • 当事者で裁判所を利用

 特に利用して頂くものとして平成18年1月20日に施工された「筆界特定制度」が有効です。
この制度は登記を取り扱う法務局・地方法務局に筆界特定登記官を置き、土地の筆界特定を求める当事者からの申請を受けて、外部専門家である筆界調査委員(土地家屋調査士・弁護士等)の意見を踏まえて筆界不明を解決する新制度です。

 今までは土地の筆界について争いが生じた場合、筆界確定訴訟という裁判による解決しかなかったのですが、この制度により正しい筆界を迅速かつ適正に特定することができ、紛争の予防と早期解決を実現することが可能となりました。
また筆界特定訴訟においても本制度における調査結果等を証拠として利用することもでき、ひいては地図整備事業の円滑な推進に大きく貢献するものとなっています。


 私たちは日頃から土地の境界については意識が薄く、こういったことをどこの誰に相談すれば良いのか知らないためについ不動産鑑定士や弁護士の先生に依頼するといったような間違いがしばしば起こってきたようです。

 もしお隣さんとの境界が「筆界」なのか「所有権界」なのか判らない場合には、土地家屋調査士へご相談ください。
財産ドック株式会社では専門かつ経験豊富な財産ドックFPである土地家屋調査士 平塚泉氏がご相談に乗りますので、境界線の問題でお困りの際は財産ドックお問合せフォームからお気軽にご相談下さい。

株式会社 京都ライフ 今出川店

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