平成20年地価公示に基づく地価動向について
2008年04月15日
(株)関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博
4月度財産ドック定例セミナーは(株)関西総合鑑定所 細見 正博氏をお招きし「平成20年公示価格に基づく地価動向について」をテーマに今後の地価の動向についてお話を頂きました。
地価動向についての概略
平成20年1月1日時点の地価公示によると平成19年1月以降の1年間の地価動向は、全国平均で住宅地及び商業地ともに2年連続で上昇となった。
三大都市圏においては、平均で上昇幅が拡大したものの、都心部を中心に上昇幅が縮小した地点が現れた。また、地方圏においては下落幅は縮小したものの、依然として下落地点が大半を占めた。
1. 三大都市圏・地方ブロック中心都市においては、景気回復が続く中、マンション・オフィス需要等を背景として、都心部における地価上昇が周辺地域へ広がりをみせたものの、昨年後半にはこれらの上昇基調はそれぞれに鈍化した。
2. その他の地方圏においては、地方中心都市の市街地整備や交通基盤整備等による利便性・収益性の向上等が見られた地区については上昇地点が増加するとともに、下落地点についても、その半数以上で下落幅が縮小した。しかしながら、地方圏全体では、依然として下落地点が大半である。
このように、今回の地価公示に示される地価動向は、総じて見れば、地価の持ち直し傾向が引き続き見られるものの、昨年には三大都市圏等を中心に上昇基調の鈍化がそれぞれに見られた。
なお、地価動向の先行きについては、景気・金利動向、需要バランスの動向、内外投資家の動向の影響などに留意すべきである。
圏域別の地価動向
全国
・平成19年1月以降の1年間の地価変動率は、全国平均で住宅地1.3%、商業地3.8%となり、共に昨年に続いて2年連続して上昇となった。
三大都市圏
・三大都市圏では平均で住宅地4.3%、商業地10.4%上昇し、住宅地では2年連続して上昇、商業地は3年連続して上昇となった。
・都心部では、ブランド力の高い地域や優良住宅地、高度に商業機能が集積した地域において、年間30%を超える高い上昇率を示す地点が見られた。
・景気回復が続く中、マンション、オフィス需要、不動産投資化等を背景として、各圏域都心部の上昇傾向が継続し、周辺地域へ広がりを見せたものの、昨年後半、上昇基調の鈍化がみられた。
・地価上昇の周辺地域への広がりは、都心部に近接した地域及び鉄道沿線など都心部への接近性・交通利便性や収益性の高い地域を中心に見られたが、相対的に利便性・収益性が劣る地域では、下落となった。
京都府
住宅地
京都市近隣では京田辺市、宇治市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは利便性や住環境に優れた地域において住宅需要が顕在化したためである。
商業地
京都市は平均で前回の上昇率を下回り、とくに中京区、下京区等では上昇率の鈍化が顕著となった。このほか、京都市近隣の宇治市、長岡京市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは駅前等の整備による利便性の向上のためである。
まとめ
地価は全国的に上昇はしているものの、中心都市圏と地方都市圏の差は広がりつつ、また人口の減少、ファンドの撤退など平成20年後半から見られるであろう「上昇基調の鈍化」は平成21年以降も続くとの事でした。 土地は資産という考え方は薄まりつつあり正確な情報が必要となってきています。
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