資産運用と防衛の実践セミナー 2009年 春

2009年05月18日

賃貸あんしん保証会社(株) 雨坂 甲
(株)関西総合鑑定所 細見 正博
税理士法人総合経営 長谷川 佐喜男

平成21年5月18日、メルパルクKYOTOにて多数のオーナー様にご参加を頂き、三部構成で現在の賃貸市況や今後の市場の動向、相続対策について3名の講師の先生方による講義が開かれました。以下、簡単になりますが講義の内容を振り返ります。

【第一部】
忍び寄る負の連鎖
~これを知らない家主さんも倒産予備軍・・・?~

賃貸あんしん保証会社(株)代表取締役 雨坂 甲

【第二部】
誰も予測できなかった地価暴落
~あなたにとってピンチですか、チャンスですか~

(株)関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博

【第三部】
相続に負けない財産活用
~相続税と不動産(固定資産)~

税理士法人総合経営 公認会計士 税理士 長谷川 佐喜男

【第一部】
忍び寄る負の連鎖
~これを知らない家主さんも倒産予備軍・・・?~

賃貸あんしん保証会社(株)代表取締役 雨坂 甲

平成18年12月に改正貸金業規正法が参院本会議にて可決され平成22年6月までに完全施行されることになりました。

この規制により今後賃貸市場においても様々な影響が予想されます。
現在の出資法に基づいた金利が、現在の利息制限法の上限金利まで引き下げられる(グレーゾーン金利の廃止)こととなります。(29.2%→15~20%)

また、「総量規制」により、総借入額が年収の1/3を超える借入れが原則禁止となります。例えば、年収350万の場合、115万が借入れ限度額になります。

市場への影響として、2008年5月現在、貸付残高約11兆円が、(1)貸し出し金利の低下による与信強化(2)総量規制による貸し出しの減少の2点の影響により約4兆円になると言われております。
従来の現金決済で商いを営んでいる業界(公営ギャンブル業界、飲食業界、ファッション業界、旅行業界等)が間接的に影響を受けると言われておりますが、不動産賃貸業界も例外ではありません。
資金需要者の借入目的の多数は、賭博、生活費(家賃を含む)、遊興費、物品購入を目的としていることが大多数を占めておりますが、今後は貸金業者からの借入れを受け入れられない人々は増加すると想定され、家賃の滞納率の増加も懸念されます。
そのため、今後は与信機能をもった(特にクレジット審査)保証会社を利用し危険回避に備える必要があるかもしれません。

また、保証会社を利用する事により管理会社にもメリットが出ます。つまり、管理会社は家賃回収、督促業務にあてる時間を保証会社にアウトソースすることでその時間を他の業務にあてることが可能となります。周辺環境を良くしたり、入居者が入居しやすく住みやすい環境に導くことにより、入居率の向上に努めることが可能になります。

世界的金融危機の負の連鎖が私達の身近に確実に迫ってきております。そのひとつの対策として保証会社の導入をご検討されては如何でしょうか。
また、保証会社の選定も非常に重要な課題となりますので、ご検討されているオーナー様は京都ライフまでご相談下さい。


【第二部】
誰も予測できなかった地価暴落
~あなたにとってピンチですか、チャンスですか~

(株) 関西総合鑑定所 細見 正博

平成20年1月以降の地価は全国平均でみると、住宅地・商業地を含めて全ての用途で下落しております(平成21年の地価公示に基づく地価動向による)。
とりわけ三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)が目立ちます。共通している理由として景気の悪化・新規分譲マンションの販売不振・投資・融資等の資金調達環境の悪化等が挙げられます。

また、オフィスビル等における空室率の上昇や賃料の下落により土地に対する需要が減退、収益力の低下が挙げられます。

特に下落幅が大きかった名古屋圏は自動車産業の不振により商業地ではワースト10のうち9割を占めています。
東京圏においては投資ファンドの影響により新築マンションの販売不振による地価下落が目立ちます。
また、過去の地価の変動率と株価の推移を見るとほぼ日経平均と動きが分かります。今後も地価の動きは日経平均と連動した展開が予想されます。

京都の地価「住宅地」と「商業地」の特徴

住宅地
・住宅地は20年前の水準にもどる
・上昇は一箇所もない
・市内はマイナス1.9%~3.5%下落
・市中心部でマンション販売の不振(商業地価の下落)
・北、左京、山科、伏見区など周辺区で下落率が大きい(利便性の悪いエリアが下落)
・長岡京市、向日市、交通利便性の高い京田辺市、木津川市では変動率0の地点が集中

商業地
・地価の高い中京区、下京区では不況の影響を受け大きく下落
・変動率0の地点は観光需要が高まっている嵐山付近の一箇所のみ
・福知山市、舞鶴市、綾部市、京丹後市で下落幅が拡大(府北部は下落幅拡大)
・府南部の下落は比較的緩やか

全国的に見て地価の上がった成功都市

全国的に地価の下落傾向の中でも地価の上昇を見た場所があります。

静岡市葵区
・JR東静岡駅周辺の再開発による商業地の再開発、土地区画整理事業による地価上昇のケースです。

北海道伊達市
・約10年前から高齢者(リタイヤ組)などに移住を呼びかけ
・他の自治体が役所や病院を郊外に移転していた頃から流れに逆らい、公共施設を中心部に集中し暮らしやすいコンパクトシティーを目指し成功したケース。

今後の地価動向の行方
地価上昇には4つの要素が必要と言われております。
・海外ブランド店の進出
・再開発・インフラ整備
・マンションブーム
・不動産投資ブーム

などと言われておりますが、不動産の金融商品化(不動産の証券化、レバレッジ)といった金融の仕組みの見直しにより、銀行の不動産融資に対する厳格化も予想されており、不動産を取り巻く様々なファンダメンタルズの厳しさが取り巻くなか、中長期的には不動産価格にはまだまだ下落圧力があると言われております。

今後、不動産投資をお考えのオーナー様がおりましたらご参考までにして頂ければ幸いです。


【第三部】
相続に負けない財産活用
~相続税と不動産(固定資産)~

税理士法人総合経営 公認会計士 税理士 長谷川 佐喜男

1.相続税申告の実態

被相続人数(亡くなった方)約111万人に対して相続税申告者は約4.7万人となり割合は約4.2%という数字が出ております。
その内訳としては土地・家屋で5割以上を占めております。一人当たりの課税価格は約2億3000万円、一人当たりの申告額は約2700万円です。実態として25人に1人の割合となりました。(平成19年分 国税庁発表)

2.相続税対策の三本柱

分割対策(争族対策)~相続税がかからない場合も必要
・遺言書の活用(遺留分)
・保険の活用

納税対策~流動性の確保がポイント(払える様にすること)
・一括納付が原則...延納・物納の利用(表1・2参照)
・保険の活用(表3参照)
・不動産の処分

節税対策~生前贈与がポイント
・歴年贈与か相続時精算課税
・小規模住宅地評価減の特例
・不動産有効活用は節税になるか?
→不動産投資の節税効果は副次的であり収益性こそが重要である。

表1. 相続税の納税順位
※相続税納付方法の優先順位...相続税の申告期限は相続開始日の翌日から10ヶ月以内だが、申告期限までに金銭で一括納付が原則。
※一括納付が困難な場合...「一括納付が困難な金額」を限度として「延納」「物納」が可能。
※一括納付が困難な金額...納付すべき相続税額 - (現金預金その他換金が容易な財産の価格 - 3ヶ月分の生活費 - 当面必要な事業経費)



表2. 相続税の物納制度の改正
表3. 保険契約の関係者と課税関係
パターン1の場合...生命保険には、被相続人が保険料を負担した死亡保険金を相続人が受け取る場合、ある一定額までは相続税が課税されない非課税枠がある(相続税法第12条)

3.今後の時代をどう読むか(いかに財産を活用するか)

ポイントとして挙げられることを列挙します。
・少子高齢化
・インフレ基調かデフレ基調か
・不動産の価格はどう決るか
・物つくり工場の跡地
・大邸宅(100坪以上)の今後→今後は分譲化が進み値も上がらない
・賃貸市場がどう変貌するか

4.不動産(固定資産)か流動性預金か

相続税対策三本柱と表裏一体の関係
ポイントは(1)分けやすいか(2)納税しやすいか(3)節税しやすいか

土地持ちの考え
a.土地を持つことのリスク
・流動性が低い(売りたい時に売れるか)
・価格はどう決るか(買い手と売り手の希望価格を常日頃の認識が必要)
・コスト(税金)がかかる
・相続税評価と時価の乖離
・納税しにくい
・分けにくい

b.総資産主義か純資産主義か→キャッシュフロー(現金)重視の考え方が重要

c.一物四価→所有不動産を年一回は評価することを薦めます。常に評価額(実益)を認識することが重要

d.土地の有効活用は企業経営と同じく事業である(専門家に任す)→不動産上場企業でさえも倒産する時勢です。不動産経営は難しい

e.有効活用は自己資金の範囲内で行う(最低で7割)

f.既存有効活用物件は売れる時に売ってしまう発想も大切。


近年の金融危機の情勢により、今後不動産市場はますます展開が読みづらくなります。その中でオーナー様の大切な資産を運用、運営して行くことが困難な時代になります。財産ドックには様々な分野のスペシャリストの先生方がおられ、個別相談もさせて頂いております。身近な疑問点やご質問何でも構いませんので、是非一度お気軽にお声をお掛け頂けます様宜しくお願い申し上げます。

セミナーに関する疑問やご質問等がございましたら、お気軽にお問合せください。

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