21年分確定申告に向け、いますべき事

2009年11月11日

税理士法人 貝崎 謙一郎

今回のセミナーは財産ドックFPの貝崎先生をお招きし、賃貸マンションオーナー様に向けた21年分確定申告の為の節税対策、また22年分に向けた対策について項目ごとに分かり易く講演いただきました。以下にその項目を挙げさせていただきます。

1 青色事業専従者給与

青色申告者が営む賃貸事業に専従する、生計を一にする親族に支払う給与については、その建物等の貸付けが事業と称するに至る程度の規模で営まれている場合に限り、「青色事業専従者給与」として必要経費に算入できます。

青色事業専従者給与として認められる要件

(1)青色事業専従者に支払われた給与であること。
(2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
(3)届出書に記載されている方法により支払われ、かつ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
(4)青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。

青色事業専従者とは(次の要件のいずれにも該当する人)

イ.青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ.その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ.その年を通じて6月を越える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

上記(2)の「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出期限は、青色事業専従者給与の必要経費算入の規定の適用を受けようとする年の3月15日までですが、その年1月16日以後新たに事業を開始した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2ヵ月以内です。
また、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出した後に、その書類に記載した給与の金額の基準等を変更する場合には、遅滞なく、変更届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

 - アパート等の事業的規模かどうかの判定 -

原則として、社会通念上、事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断しますが、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、事業として行われているものとされます。

(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

2 少額減価償却資産の取得価格の必要経費算入

少額の減価償却資産について(通常の減価償却以外の取り扱い)

(1)使用可能期間が一年未満のもの又は取得価格が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

(2)取得価格が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価格の合計額の3分の1に相当する金額を、その業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

(3)一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から平成22年3月31日までに取得した取得価格10万円以上30万円未満の減価償却資産(上記の(2)の適用を受けるものを除く。)については、一定の要件の下でその取得価格の合計額のうち300万円に達するまでの取得価格の合計額を、その業務の用に供した年分の必要経費に算入できる特例があります。

上記の取得価格は、通常一単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については一台又は一基ごとに、工具、器具及び備品については一個、一組又は一そろいごとに判定します。

3 未収家賃の貸倒処理

税務上、未収家賃等を貸倒処理するためには、次のいずれかの場合に該当する必要があります。

全部又は一部の切捨てをした場合

イ.法的手続き等により、未収家賃の切捨てられることとなった部分の金額は必要経費に算入します。

ロ.債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その未収家賃等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対して債務免除額を書面により通知したときは、その通知した債務免除額は必要経費に算入します。

回収不能が明らかになった場合

債務者の資産状況、支払能力等からみた、その全額が回収できないことが明らかになった場合には、その債務者に対して有する未収家賃の全額について貸倒れになったものとして、必要経費に算入します。
ただし、担保物がある場合には、これを処分した後でなければ貸倒れとすることはできません。

一定期間取引停止後弁済がない場合など

債務者に次のような事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(貸付金などの債権を除く。)の額から、備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、必要経費に算入することができます。

イ.債務者との取引の停止をした時(最後の弁済期又は最後の弁済の時がその停止をした時より後である場合には、これらのうち最も遅いとき)以後1年以上を経過したこと(担保物のある場合を除く。)

ロ.同一地域の債務者について有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、その債務者に対して支払を督促したにもかかわらず弁済がないこと。

事業的規模で行われている場合

貸倒れが発生した年分の必要経費に算入します。

事業的規模で行われていない場合(業務的規模)

貸倒れが発生した年分の必要経費とはならず、その未収家賃などが計上された年分にさかのぼって、その収入金額がなかったものとみなされます。

4 訴訟費用等

不動産貸付業の用に供されている資産について生じた紛争を解決するために支出した弁護士の報酬その他の費用は、その資産の取得費とされるものを除き、その支出した日の属する年分の必要経費となります。

5 生計を一にする親族に支払う地代等

子が、生計を一にする親の土地の上に住宅を建てて不動産貸付を行い、その地代を親に支払う場合のように、生計を一にする親族に地代等を支払っても、その支払った金額は、原則として、必要経費には算入できません。
しかし、その一方で、親が子に貸している土地の固定資産税等のように、その生計を一にする親族が負担すべき費用については、事業主の費用とみなして、必要経費に算入することが出来ます。
この場合、生計を一にする親族が支払を受けた対価の額や必要経費に算入されるべき金額は、ないものとみなされます。

6 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済制度は、小規模企業共済法等に基づき、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している「経営者の退職金制度」といえるものです。
支払った掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除できます。
また、前納の期間が1年以内の場合は、前納掛金の全額を支払った年分の所得から控除できます。

まとめ

ご確認いただいて如何でしたでしょうか?各項目についての詳細やご質問、その他税務全般について具体的なご相談等がございましたらお気軽にお問い合わせください。今後もオーナー様のお役に立てる情報が提供できるセミナーを予定しておりますので、ぜひご参加ください。

株式会社 京都ライフ 四条店

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