資産運用と防衛の実践セミナー 2010年 春

2010年05月19日

株式会社関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博
税理士法人FP総合研究所 税理士 松原 健司
JPMC日本管理センター株式会社 武井 大

去る平成22年5月19日に行なわれました財産ドック主催、資産運用と防衛の実践セミナーについてレポート致します。
当日はお足元の悪い中多数のオーナー様にご参加いただき、今回のテーマであるマンションの収益改善について感心が高いことを我々も強く感じました。以下、3部構成で行なわれましたセミナー内容について簡単ではございますが振り返らせていただきます。

【第一部】
地価の潮流の変化を読む
~地価動向に薄明かり~

株式会社関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博

【第二部】
賃貸事業の経営把握、本当にできていますか?
~利益が出ているのに、資金繰りが悪化!?~

税理士法人FP総合研究所 税理士 松原 健司

【第三部】
空室率30%時代を勝ち抜く!
~これからの賃貸経営術 リフォームの新しいカタチ~

JPMC日本管理センター株式会社 武井 大

【第一部】
地価の潮流の変化を読む
~地価動向に薄明かり~

株式会社関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博

平成22年地価公示の概要

前回(平成21年)同様全国ほぼすべての地点において年間で下落となりました。

前回下落地点率96.9%→今回(平成22年)下落率99.6%

平均変動率で見ると各地点各用途で前回よりも下落率が大きくなりました。
三大都市圏の方が地方都市圏よりも、また商業地の方が住宅地よりも下落率は大きくなりました。
三大都市圏における半年ごとの下落率は前回は前半(1月~6月)、今回は後半(7月~12月)の方が小さくなっています。
大阪圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県)における地域・用途別変動率は小さいのが京都府・奈良県が多く、大きいのが大阪府・兵庫県が多くなりました。

全国地価公示変動率では、愛知県名古屋市緑区が上昇地点7地点の中5地点でランクインし地下鉄延伸・大型商業施設進出・インフラ整備など好材料が原因と思われます。又、上昇地点のあと2地点は静岡県長泉町で合計2つの地域7つの地点のみが全27,410地点中上昇となりました。(7地点中住宅地6地点、商業地1地点)又、下位ではほとんどの地点が東京の商業地に集中しています。

大阪圏の変動率では上位トップ10において下落1.0%までに留まりその全地点が京都府となりました。下位ワースト10では全地点大阪府となり下落率は20.2~24.7%。その多くの地域が「御堂筋線」沿いと呼ばれる地域で、大阪圏のブランド地が下落という結果でした。

顕著に元々価格の高い三大都市圏の商業地の下落が見てとられます。

サブプライムローン問題・リーマンショック・ドバイショック・ギリシャ発端のヨーロッパ金融不安など世界同時不況の影響が日本全国に広がっています。

地価動向で話題のポイント

・東京・池袋東口...ヤマダ電機が進出(三越池袋店の跡地)でビックカメラと競合し、これにより周辺ビルオーナーも強気姿勢で家賃が下落せず。
・東京新橋1丁目...高騰後の調整局面に入り、日本生命新橋ビル地点で日本最大下落率(26.9%)に。
・東京銀座4丁目...日本最高価格地点の調整局面(下落率25.7%)「揺らぐ銀座神話」→流店の高級志向からファストファッションへ。
・鹿児島中央駅前...新幹線の開業・駅周辺の再開発事業・根強いマンション事務所需要などにより地価横ばいで好調。
・JR新潟駅南口前市街地...再開発事業進行 地価横ばい。

京都市地価動向のポイント

・河原町の斜陽→京都駅周辺の躍動
・最大下落率地点 四条烏丸東洋烏丸ビル(下落率14.9%)
・下落率第2位地点 四条河原町 みずほ銀行四条店(下落率12.1%)
・四条河原町 老舗宝飾店「寺内」が閉店
・四条河原町 河原町ビブレと阪急百貨店の閉店予定(平成22年8月22日時点)
・JR京都駅前 中信ビル(下落率7.2%)
・京都駅南口 2010年6月4日「イオンモールKYOTO」オープン 140店舗4万5千㎡
・JR京都駅前 2010年10月家電量販店「ヨドバシカメラ」出店(近鉄プラッツ跡地)
・オフィス空室率 四条烏丸11.5% JR京都駅周辺7.7% 今後も四条烏丸地区は供給過剰

動いてきたマンション市場

・マンション、底入れの兆し 4月首都圏契約率79.9%と在庫調整が進展
・近畿圏の分譲マンション契約率72.3%で新規物件の売れ行き好調
・リーマンショック以前の乱立状態から慎重に立地調査の行なわれた物件が供給されている。

行き先不安ではなく好材料あり

・世界経済「回復早い」(IMF専務理事)4%成長に予測修正へ。
・景気先行き指数伸び最大(内閣府)
・小売に見る消費者動向―上向きだが力強さ欠く、百貨店は底打ち。
・土地取引改善の兆し(上場企業など)土地取引動向調査マイナス幅縮小
・円安方向へ。ドルキャリ― → 円キャリ―へ
・Jリート5ヶ月ぶり950ポイント超え(09年11月末からの好調さを維持)
・中国マネー、東京市場に
・オフィス賃料は今年秋から来年春にかけて底を打つだろう。
・メガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友)の海外収益回復
・オフィス機器に見る景気 ― 着実な手応え(日系月曜経済観測)
・大阪府有地の一般競争入札7物件すべて落札(2月)
・USJ 6月から値上げ 大人1日券 6,100円


【第二部】
賃貸事業の経営把握、本当にできていますか?
~利益が出ているのに、資金繰りが悪化!?~

税理士法人FP総合研究所 税理士 松原 健司

利益と手許資金はなぜずれるのか?

減価償却費と借入元本返済額のバランスを確認!!
「減価償却費」は出費を伴わない経費であるが為にお金が残ります。
「借入元本返済」は出費を伴いますが、経費にはなりません。
如何に減価償却費を多く借入元本返済を少なくするかが鍵となります。

借入金の仕組み

元金均等方式と元利均等方式
一般的には「元利均等方式」を選択されていることが多いかと思います。
元利均等方式の場合、毎年(毎月)の支払額は一定となり月々の収支が読みやすくなりますが、初期においてほとんど元本の返済が進まず、その結果支払い総額が元金均等方式と比較して高くなります。
また毎年(毎月)の支払額が一定であるにもかかわらず、その内訳のうち、支払利息分が減少していくため、支出額のうち、経費に計上できる部分が年々減少していくことになります。

減価償却の仕組み

減価償却の方法には「定額法」と「定率法」の2通りの計算方法があります。

《定額法》届出を提出していない個人は定額法になります。
所得価額×耐用年数に応じた定額法の償却率

《定率法》平成10年4月1日以後に取得した「建物」は定率法を選択することができません。
前年末の未償却残高×耐用年数に応じた定率法の償却率

(償却率の例)
耐用年数15年の場合...定額法 0.067/定率法 0.167
☆当初は定額法の2.5倍のスピードで償却がスタートします。



■未償却残高に高い償却率を乗じて計算する「定率法は当初の償却費が多くなるため、早い経費化が可能です。
■平成10年3月31日以前に取得した建物は、定率法に変更することができます。

(借入元本と減価償却費の関係)
建築費1億円【鉄筋コンクリート造:建物本体(耐用年数47年)7000万円 設備(耐用年数15年)3000万円】
借入金1億円【元利均等方式 30年 金利3.0%】

減価償却の耐用年数と償却方法
資産の区分を細かく分けて減価償却していますか。
・建築費を細かく分けることで耐用年数が短いものに振り分ければ耐用年数が短くなり早く経費化できます。
・建物・附属設備・構築物(外溝工事)のうち「建物」以外は定率法を利用することで更に早く償却することができ、経費化できる金額が増え資金繰りすることができます。

借入元本と減価償却費の関係
設備の減価償却が終われば元金の返済額のほうが多くなるので利益の中で返済をしなければならず苦しくなります。利益は課税されるので見た目以上に利益が必要となります。

借入金を繰り上げ返済した場合の効果
総返済額の減少が得られる(元本及び金利)。考えを変えると繰り上げ返済額を金利が入る状態で預け入れしているのと同様の効果を得る。

繰り上げ返済すると経費が減って不利??
☆ポイント:大切なことは税金が減ることではなく、手取り金額を増やすことです!!
繰り上げ返済することにより、支払い利息が下がるが税金は上がるのは確かですが、ほとんどの条件の場合で支払い利息減少分より税金増加分が大きくなります。つまり手元には多くお金が残るということになります。

繰り上げ返済は相続対策に不利??
☆ポイント:債務だけを見ず、バランスシートで考えましょう!!
借入金は相続対策上控除できるので、有利と言う話をよく耳にすると思います。 たしかに借入金は債務控除として財産から控除されることになりますが、借入を行なった際には同額の現金が通帳に振り込まれると思いますので、結果的には債務の増加と同時に財産が増加することになります。これは逆に返済した場合にも同様で、借入金を返済すれば同額の財産が減少します。
いずれの場合においても「財産―債務」の金額は一定となります。 つまり借入金を行なうか否か、または借入金を早期に返済するか否かと言う点については、相続税の計算上影響を与えないと言うことになります。

なぜマンション建築が相続税対策になるのか??
☆ポイント:重要なのは借入金ではなく、どのような財産に組み替えるかです。
現金などの財産はそのまま課税されますが、賃貸マンションなどは建物と言うだけで資産評価が下がるのと、貸家となると更に下がるのでその効果は大きく、例えば1億円の現金とその費用で建てた賃貸マンションでは課税評価額は約半額以下になります。

修繕・リフォーム費用の上手な経費処理方法
マンションの修繕・リフォームした代金はその工事の内容により「修繕費」か「資本的支出」に区分して取り扱います。そのどちらも経費になりますが効果が違いますので施工にはそのあたりも考えてどのような工事をされるかお考えになると良いでしょう。
「資本的支出」:減価償却のため経費化に時間がかかる・資金回収が遅い。
「修繕費」:その年において経費化できる・資金回収が早い。

備品を購入した場合の上手な処理方法
☆ポイント:備品を上手に経費化しよう!!
通常ですと低い価格でしか経費化できずその割合も低くなり減価償却の対象になりますが、青色申告者の特例として制限が限度額はあるものの経費化できる制限が緩くなります。

空室と滞納は大違い!!
・どちらも入金がないので課税関係は同じ?
 → 違います。
空室の場合は計上しませんが、滞納の場合は家賃が発生しているので入金しているかどうかではなく計上します。よって、滞納は入金がなく課税されるという状態を招き、資金繰りが悪化します。
・滞納による未収額が回収できなかった場合には?
結構厳しい条件を満たさないと経費化は難しく、こちらから頼んで債務の免除を滞納者に通知などして貸倒処理をし必要経費としたりします。決断を迫られますが早期に貸倒処理を行なうことが結果的に資金繰りを向上させることにもつながります(空室になれば新たな入居募集ができます)。

確定申告は必ず青色申告で!!
青色申告の特典には次のようなものがあります。
・専従者給与
・純損失の繰越控除
・純損失の繰戻還付
・青色申告特別控除
・少額減価償却資産の損金算入

親族に給与を支払って節税!!
一定の要件を満たすと配偶者など親族へ支払う給与を経費にすることができます。

不動産管理会社を活用して節税
個人事業として行うよりも不動産管理会社などの会社という形にして、所得の分散・累進税率の緩和・給与所得で課税・相続財産が増加しないなどの特典を受けることによって、結果節税につながります。

【第三部】
空室率30%時代を勝ち抜く!
~これからの賃貸経営術 リフォームの新しいカタチ~

JPMC日本管理センター株式会社 武井 大

皆様のアパート・マンション経営は安心ですか?

(1) 競合物件の増加 毎年大量に供給される大手建築会社の新築物件
(2) 競争力の低下 旧式な仕様設備・外観、入居者ニーズの低下
(3) 全国に拡大する既存物件の空室
築年経過に伴い入居率は低下します。

(空室対策)
・家賃値下げ ... 再投資が不要で、簡単に行えるものの、入居者層の悪化=滞納増加を引き起こす可能性が...。
・バリューアップ ... 募集条件を下げることなく入居率を向上できます。
・売却 ... 賃貸経営の煩雑さからは開放されるが...。

しかし、一番の解決策「バリューアップ」のためのリフォームを行なうとしても、残債がある場合融資が実行されない可能性・リフォーム後本当に入居者が入るのか不確定な投資効果という不安があります。
そこで、リフォーム+一括借上家賃保証でそんな不安を一気に解消する「SuperReform(スーパーリフォーム)」をご紹介いたします。

「SuperReform(スーパーリフォーム)」とは

リフォーム工事後、一括借上家賃保証するリフォームの新しいカタチです。

リフォーム+一括借上家賃保証
・ 地域リフォーム会社による付加価値の高いリフォームプラン提案と確かな施工。
・ 最長20年・収益分配型 損害保険のバックアップによる家賃保証「SuperSubLease(スーパーサブリース)」。
リフォームと長期家賃保証の「スーパーサブリース」との組み合わせなら、計画時にリフォーム後の利回り確定。保証賃料で毎月の借入返済原資がしっかり確保できます。
融資先金融機関へのアピール度もアップ。リフォームローン返済期間に合わせた最長20年の損害保険のバックアップによる家賃保証だから安心感が違います。
さらにリフォームなら省資源化で環境保全にも貢献します。

〈「スーパーサブリース」3つの特長〉
(1) 損害保険のバックアップによる家賃保証
日本管理センターは、スーパーサブリースの信用補完の一環として、損害保険に加入しています。
(2) 最長20年の長期家賃保証
リフォームローンのご返済期間にあわせた最長20年(RC・SRCの場合)の長期家賃保証。
更に、JPMC提携リフォームローンも利用可能 ※1
(3) 収益分配型サブリース
従来の保証家賃固定型のサブリースではなく、収益分配型のサブリース方式を採用。それにより、保証賃料を上回る収益もオーナー様に分配還元します。

※1 提携リフォームローンは金融機関により条件が異なります。また各金融機関毎に審査があります。詳しくは担当者までお問合せ下さい。
※ 損害保険契約は、保険契約者である日本管理センター(株)が、オーナー様にスーパーサブリース契約上の約定を履行することによって生じる損害の一部を補填するものです。

従来のサブリースよりも高収益
・スーパーサブリース コース別賃料収入
スーパーサブリースの賃料収入は、保証賃料+収益分配金となります。また保証賃料、収益分配比率の異なるコースをご用意。オーナー様のニーズに合ったコースをお選びいただけます。 オーナー様総収益の考え方 ・保証賃料は各コースで異なります。 ・オーナー様収益分配金は集金賃料から保証賃料を引いた収益を、各コースの異なる分配比率により、オーナー様に分配するものです。
・コースをお選びすることにより、収益を重視するか、若しくは安定を重視するか等、従来よりも選択肢の幅が増えるので、時代に合わせた柔軟な投資ができるようになりました。
オーナー様収入例
設定条件を基準賃料120万円・リフォーム後の満室時の募集賃料150万円・収益率125%とすると...
保証賃料=120万円×70%=84万円
オーナー様収益分配金=(150万円―84万円)×3/4=49.5万円 合計133.5万円

※月額基準賃料とは日本管理センター(株)が査定した家賃・共益費・駐車場代を含めた物件1棟あたりの評価金額です。
※実際の収益分配計算は12ヶ月単位で行います。

「スーパーリフォーム(SuperReform)」のメリット!

・ 工事の計画を立てる時点でリフォーム後の利回り確定
・ 地場有力リフォーム会社による付加価値の高いリフォームプラン提案と確かな施工
・ リフォーム返済期間に合わせた最長20年にわたる安定収入
・ 損害保険のバックアップによる家賃保証
・ 日本版プロパティマネジメントの考え方に基づき安定性と高収益性を同時に実現
・ 地場有力賃貸管理会社による良質管理および募集力強化



今回の内容は如何にオーナー様にアパート・マンション経営において、より良い運営方法と知識を身に付けて頂き更なる収益の増加もしくは不採算からの脱却を図っていただくかがポイントでありました。全部通してお聞きいただければ何かひとつでも新しい発見があり、今後の為にお役立ちいただければと思い行なわせて頂きました。
しかし事案は様々で、多様化する社会・経済・政治(税等)に対応するにはやはり専門的な見識が必要とされると思います。「財産ドック」ではそれぞれの専門家を擁し、皆様方の多岐に渡るご相談にいつでもお答えできるよう備えてさせて頂いておりますので、お気軽にお声掛け下さい。全力でお力になれればと思います。

セミナーに関する疑問やご質問等がございましたら、お気軽にお問合せください。

株式会社 京都ライフ 伏見店

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