土地建物(共有物)不動産管理の留意点
2011年02月10日
平塚泉土地家屋調査士事務所 平塚 泉
平成23年2月10日、京都ライフ本社会議室にて土地家屋調査士の平塚泉先生に、相続などの関係で共有名義となっている資産の分割について、実際に担当された事例を中心に講演いただきました。
共有名義資産の分割に関して起こる問題点
◆資産管理における問題点
- ・ 当事者が共有、準共有、合有、総有等の違いを理解していないケースが多い
- ・ 相続人確定問題(数次相続の放置や相続人確定までは紆余曲折が多い)
- ・ 未利用地、2次利用不動産の共有は固定負担が多い
- ・ 共有者が海外在留者等の場合はすべての処理に時間と手間を要する
◆不動産の違いからの問題点
- <土地の場合>
- ・ 代表的なものは境界確定作業での問題
(通常共有者全員からの申請や同意が必要) - ・ 隣接の土地が共有や相続未了の場合は押印等で苦慮する
- <建物の場合>
- ・ 多いものは新築建物の所有者名義の問題
(夫婦間の共有持分の割合の決定が難しい点) - ・ 従前の建物に増築した場合
(親の建物に子供が増築した場合の登記に反映する点)
◆処分の際の問題点
- <土地の場合>
- 共有者が多いと時間が掛かる、分割ラインが決まらない等、分割に伴い生じる問題点は多く存在。他にも分割により、財産価値が下がる点、分割手法が多岐にわたり、等価値の判断が難しい、換価し難いなど
- <建物の場合>
- 連棟や分割出来ない建物、区分要件の問題、借地の場合の固定経費の問題(長期化の恐れあり)、老朽化の建物の解体時の問題など
共有名義資産の分割について
◆共有者の一人から分割請求された場合のポイント
権利、利益、感情の調整に時間が掛かってしまうが、そういった内部の調整よりもまず、隣接地境界の調整が優先的であり、その為にまず共有者の内からイニシアチブをとる1人を選定すること。売る・貸す・分割といった判断の場合は、その資産の最大限の利用観点から方向付けることが、一番早く効果的です。
更に各種法令の制限や税務上の配慮が出来るかどうかも重要なポイントです。
◆実際に共有財産を明確にするまでの費用
【例】土地分割の場合
関係する役所に境界明示申請~受領までの間に以下の費用が必要となります。また、費用負担の配分も、共有なら発生する問題です。
- 隣接土地所有者への挨拶品代(特に京都では必要)
- 役所に行くなど相続関係の調査費用・必要時間(他府県であれば更に必要)
- 少なくとも2~3回は必要な現地境界標の埋設までの費用
- もめた場合は筆界特定、ADR、裁判等の費用、弁護士・調査士等への費用
【事例】 共有持分の土地分割で成功した例
<長男が現在住んでいる建物を残せたケース>
現在長男が在住中・1人が近所・1人が海外・1人は国内に居住。計4人の方の共有土地になっており、長男を除いた3人は売却希望でした。
今の土地の中央には建物が建っていますが、長男は建物に思い入れがあるため、売却できる土地が確保できない状況です。
売り地をどうするかという問題について話し合いを重ねた結果、建物を移動する曳行と言う手法の案が出ました。
上記は現在の建物を一方に曳行移動させ、他方の広くなった区画を売却するといった方向で決着ができた事例です。接道義務や建蔽率、容積率も配慮した、最大限価値を落とさない解決方法でした。
つまり、共有の場合は、いかに色々な条件に対して、総合的な調整ができる人物がいるかが一番のポイントかもしれません。
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