資産運用と防衛の実践セミナー 2013年 春

2013年05月15日

CFP®ファイナンシャルプランナー/資産運用アドバイザー 北野 琴奈
税理士法人総合経営 公認会計士 長谷川 佐喜男
(株)関西総合鑑定所 不動産会計士 細見 正博

 平成25年5月15日、メルパルクKYOTOにて、財産ドック(株)主催による『資産運用と防衛』をテーマにセミナーが開催されました。

【第一部】
実践!キャッシュを手元に残す不動産投資・賃貸経営

CFP®ファイナンシャルプランナー/資産運用アドバイザー 北野 琴奈

【第二部】
デフレ克服下における不動産活用
~アベノミクスと今後税制改正~

税理士法人総合経営 公認会計士 長谷川 佐喜男

【第三部】
洛中の不動産、ミニバブルの気配

(株)関西総合鑑定所 不動産会計士 細見 正博

【第一部】
実践!キャッシュを手元に残す不動産投資・賃貸経営

CFP®ファイナンシャルプランナー/資産運用アドバイザー 北野 琴奈

第一部は、講演・執筆・資産運用アドバイザーとして活躍中の実践型ファイナンシャルプランナー、北野琴奈氏を講師としてお迎えしました。TBS、日本テレビ、BSなどのテレビ番組へコメンテーターとして出演の他、雑誌・新聞等多数のメディアに取材協力をされています。
ご自身は、2001年頃より資産運営の勉強を開始され、現在では、東京・神奈川・海外に6棟104室を所有し、オーナー業も営んでおられるということもあり、ご来場のオーナー様にとっては、非常に興味のあるお話となりました。

1、不動産をとりまく最近の近況

売買については、統計上の地価の下落が続いていますが、外資系やファンド等の資金投入が活発で、今後の消費税増税をにらみ土地の仕入れが進んでいる状況です。
相続税増税対策での売買も増加傾向にあります。ただし首都圏では、物件の品薄感が継続しており、その分物件選びは多様化しているようです。
金利は過去最低基準となっており、新規申込だけではなく、低金利の住宅ローンへの借り換えや更新時の金利交渉のチャンス到来です。

賃貸に関しては、人口減少は進んでいますが、都心など活発な市場もあり、また、異業種からの賃貸経営への参入も目立ってきています。近年は空室の増加に伴う家賃減少が続いていましたが、ここにきて歯止めがかかってきており、全体的に仲介業者に支払う広告料が増えてきているようです。

2、北野氏の賃貸経営

講師の北野氏は、自身の賃貸経営において「『誰に、何を、どうやって』売るか?」ということを常に意識されているそうです。つまり、行き当たりばったりの運営ではなく、先々を見越した確実な戦略立てが重要となってくるということです。

まず、管理会社といい関係を築くことが第一です。決まりやすい部屋にするための家賃等の募集条件決定など、管理会社とオーナーがお互いの意見を出し合い、『一緒にやっている』という連帯感を持ちましょう。また、管理会社がどこで利益を得ているのかを把握しましょう。さらに各種手続きやリフォーム発注など、自分で手配する部分と管理会社に依頼する部分のメリハリをはっきり付けること。こういったことの積み重ねが、信頼関係の構築に繋がります。

次に重要なのが、リーシング強化です。その方法についても複数ご紹介頂きました。

・入居者にカスタマイズして頂ける『プチオーダー企画』
・・・入居者に好みの壁紙を選んでもらったり、壁に絵や帽子・コートを掛けられるピクチャーレールを設置したりする。
・ユニットバスに木目調シート
劣化したユニットバスの入れ替えには費用がかかる。そこで、壁に木目調のシートを貼り、そこに目を引きつけることで古さを感じさせない。
・モデルルームの設置
部屋に家具や花を置き『モデルルーム』を作ることで、入居希望者にイメージを膨らませてもらう。大きなイメージアップに繋がります。

こういった設備投資には費用対効果を検討するのと同時に、本当に入居者が求めているものかどうかを考え、独りよがりのものにならないよう注意が必要です。

近年増加している高齢者や外国人、また家賃を抑えるためのシェア希望者など入居者は多様化しており、オーナー側はますます柔軟な対応を求められます。北野氏もそのあたりを心がけておられるとのことでした。
オーナー業は、まさに『経営』であり、戦略を持って、日々試行錯誤し続けましょう。


【第二部】
デフレ克服下における不動産活用
~アベノミクスと今後税制改正~

税理士法人総合経営 公認会計士 長谷川 佐喜男

1、アベノミクスとは

アベノミクスは2012年12月26日より始まった安倍内閣において、安倍首相が表明した『3本の矢』と言われる『大胆な金融政策』『機動的な財政政策』『民間投資を喚起する成長戦略』を柱とした経済政策で、現在のところ市場では期待感もあり円安・株高が進んでいます。

(1)『大胆な金融政策』

バブル崩壊以降の20年間における不況の最大要因をデフレと捉え、デフレ脱却を目指すべくインフレターゲットの導入を決定。そのためにこれまで独立性が重視されてきた日銀に対して、日銀法の改正を視野に入れた上で、2%のインフレ目標を掲げるよう働きかけ、その目標が達成されるまで、無制限の金融緩和をとることが決定されました。

(2)『機動的な財政政策』

政府は、2013年1月15日、過去2番目の規模となる13兆1千億円の補正予算を閣議決定。また近年、控えていた公共投資を大幅に増やす計画があります。民間企業に対しては、1)雇用を増やした企業/2)賃金を上げた企業/3)設備投資をした企業に対し、減税を行うことで、景気浮上を期待しています。

(3)『民間投資を喚起する成長戦略(2013年6月発表予定)』

2013年6月をめどに、具体案をまとめることになりました。

  • 1)『日本産業再興プラン』法人税減税
  • 2)『新ターゲティングポリシー』規制緩和(医療・介護・農業・電力関係 その他)
  • 3)『国際展開戦略』TPP

2、デフレ克服下における土地の有効活用の考え方

1991年にバブル崩壊し、1998年以降デフレ時代が続いています。アベノミクスにより、即座にインフレへの効果は考えられにくく、その効果は3年後とされています

土地には様々な考え方があり『先祖伝来の土地』を守るのか、『先祖から受け継いだ資産』を守るのか、『贈与の活用』により次世代へ継承するのか。
『土地』ではなく『資産』と考えましょう。デフレ時代はお金の価値が上昇することで、借金返済への意識が強くなります。また、物の価値が下落するので、土地の有効活用を見合わせ、現金を持ったままにしようと考えます。
逆にインフレ時代は、お金の価値が下落し、借金返済への意識が薄れます。そして物の価値が上昇するので、土地の有効活用が積極的に行われるようになります。

土地はオーナーの意識、社会の状況、環境、立地条件により、その価値が大きく異なってきます。何を残して何を捨てるか、適切な判断が必要になります。

◆平成25年度税制改正で変わる相続税・贈与税

<主な税制改正スケジュール>
主な税制改正スケジュール

【相続税の基礎控除の引き下げ】(平成27年1月~)
基礎控除は、現行では5000万円及び1000万円×法定相続人の数でしたが、5000万円から3000万円に引き下げになり、法定相続人の控除額は600万円に減額となります。
相続税の基礎控除の引き下げ

【相続税の税率の見直し】(平成27年1月~)
相続税の各取得分の金額に対し、1億円以下の場合変更はありませんが、1億円以上の取得に関しては細分化され、税率・控除額に変更がありました。以下の表をご参照下さい。

【小規模宅地等の特例の拡充】
・居住用と事業用のダブル適用が可能になる(平成27年1月~)
居住用土地の適用上限は、現行では240平米ですが、改正後は330平米に適用面積が拡大されます。
相続(または遺贈)において、居住用宅地と事業用宅地がある場合、どちらの特例も上限いっぱいまでフルに適用となります。
事業用土地の上限の400平米と合わせ最大730平米の土地に80%評価減額をすることが可能になります。

・住宅も小規模特例適用可能となる(平成26年1月~)
平成26年1月1日以後の相続(または遺贈)によって二世帯住宅の敷地を子供が引き継ぐようなケースでは、通常の同居親族と同じく二世帯住宅の敷地すべてに小規模特例を適用できます。

・老人ホーム入居中の相続でも小規模特例適用可能となる(平成26年1月~)
平成26年1月1日以後の相続(または遺贈)からの適用となります。被相続人の介護が必要で入所し、その間、家の貸付け等という要件を満たせば終身利用権を取得して老人ホーム入居中の相続でも居住用の小規模特例の適用が可能となります。

【教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置】
(適用期間平成25年4月1日から平成27年12月31日まで)

【第三部】
洛中の不動産、ミニバブルの気配

(株)関西総合鑑定所 不動産会計士 細見 正博

平成25年地価公示は、全国平均で昨年の▲2.6%から▲1.8%と下落幅が減少し、全国的に地価底入れの兆しがあります。

三大都市圏である東京圏全体において、上昇・横ばいの地点は、全用途の4割強となりました。
住宅地では、マンション需要の堅調な千代田区、中央区の全地点が横ばい、東京都武蔵野市は0.3%の上昇、横浜市で0.7%の上昇。千葉県浦安市は、東日本大震災で液状化被害がありましたが、昨年は▲7.5%から▲2.7%まで改善してきました。
商業地については、神奈川県が、全都道府県で唯一上昇(0.2%)に転じました。各所では、東京スカイツリー(平成22年5月開業)のある墨田区は、昨年▲1.0%でしたが、0.4%に上昇し、東京電機大学のキャンパス移転(平成22年4月)した足立区も昨年の▲0.1%から0.1%に上昇しました。

次に大阪圏全体においては、住宅地は▲0.9%、商業地は▲0.5%の下落となり、リーマンショック以降5年連続の下落でしたが、下落率は3年続けて減少しています。
住宅地の上昇地点数は、平成23年は2点、平成24年は28点、そして平成25年は、249点と大幅に増加しました。
商業地に関しても、6→28→98と年々増加しています。住宅地においては、人気の高い阪神間で上昇が目立ち、神戸市灘区、東灘区、芦屋市、西宮市、伊丹市で平均変動率が上昇しました。大阪府では千里ニュータウンのある吹田市が府内の市で唯一、下落から横ばい。京都市では、中京区が上昇に転じました。奈良県では大阪への通勤圏の奈良市西部などで上昇地点が現れました。
商業地においては、JR大阪駅北側の再開発地区『うめきた』のある、北区で0.7%の上昇、日本一高い超高層複合ビル『あべのハルカス』が建設中の阿倍野区が1.5%上昇、マンション人気が続く福島区、西区も上昇しました。京都市では、マンションやホテル需要が強い中京、上京、下京、東山、南区の5区が上昇に転じました。

【京都府の市町村別平均変動率】

【洛中の地価】
人気のある御所南小学校区などの御池通周辺など中心部のマンション人気が地価を支え、府内トップの3.7%上昇しました。住宅地で中京区が上昇に転じ、下京区が下げ止まった一方で山科区は、▲2.5%の下落、伏見区も▲1.5%の下落で、二極化となっています。

<路線価と実際の取引価格>
洛中の中心部である、御池~丸太町通り、東屋町~富小路通り間において、平成23年、24年に行われた取引について複数の事例をご紹介いただきました。
路線価は、八掛けと言われますが、実際の取引価格と路線価を比較すると低いもので1.25、高いもので3.13となり、1.5~2.27の間で取引されているケースが多く、今後もプチバブル状態が続くと思われます。


 スピーディな時代の流れに対応する為にも、様々な方面のスペシャリストを講師としてお迎えし、オーナー様へより有益な情報をお伝えできるよう努力してまいります。今後とも財産ドックを活用いただけましたら幸いです。

株式会社 京都ライフ京都駅前店

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