収益物件の利回りと価格

2013年09月09日

(株)関西総合鑑定所 不動産会計士 杉若 浩孝

平成25年9月9日(月)に京都ライフ本社会議室にて、株式会社関西総合鑑定所の不動産鑑定士 杉若浩孝先生にご講演頂きましたセミナーについてレポート致します
今セミナーでは収益物件についての利回りと価格を理解し、所有物件や取得を検討している物件の利回りと価格をオーナー様ご自身で把握(計算)できるようになることを目的にお話いただきました。

1.利回り

1.「金利」と「利回り」との違い

金利とは、「所与(自分では決められない、与えられるもの)」であり、利回りは「所与でない」、つまり、努力次第(リフォーム、経費削減等)で改善の可能性があるものです。この二つの違いについて理解しておくことが重要です。

利回りを理解しておく理由は、収益を生む資産は不動産だけではないからです。また、不動産はたとえ収益・効用を生まなくても、持っているだけで税金(固定資産税、都市計画税)が課されるというデメリットもあります。そこで、Jリート(不動産投資信託)との比較も必要となってきます。そのとき、利回りを理解していないと比較ができません。
※この項では、不動産そのものの収益性を理解するため、借入金を考慮しません。

※純収益は所有者が物件に手を加え改善したり、支出削減をしたりして、増加させることが重要です。

※やはり居住用が一番安定した利回りになります。

Jリートの分配金利回り

予想利回り=予想分配金÷投資口価格

※価格の変動はありますが、長期的にみれば優秀です。

2.不動産投資

不動産投資の場合には、借入している場合があるので、借入金を考慮した場合の分析が必要となります。

利回りの求め方
利回り=純収益 ÷ 価格
純収益=総収入-総費用
※総収入=賃料収入
※総費用=修繕管理費等+固定税+火災保険料

借入資金と借入金をうまく組み合わせてやっていけば良いでしょう。

借入金利3%、借入期間30年の場合:元利均等償還率5%

借入の条件によっては利回りがマイナスになることもあるので注意が必要です。

借入金利3%、借入期間10年の場合:元利均等償還率12%

3.不動産投資のまとめ

1)収益物件(利回り10%)利回りと自己資金利回りは異なります。自己資金利回りは、借入金の割合により変化します。

2)利回りが元利均等償還率を上回るかどうかがポイントです。上回る場合は借入割合が増大するほど自己資金利回りも増大します。下回る場合は借入割合が増大するほど自己資金利回りが低下してしまいます。

2.収益物件の価格

1.収益物件の価格の求め方

純収益は1.5倍だが、価格は2倍

3.まとめ

1.利回りについての注意事項

例えば、物件価格5億円、純収益4千万円の場合の計算による利回りは、純収益4千万円÷価格5億円=8%となります。
一方、同じ物件でも不動産鑑定士の評価では、還元利回りを16%と判断し、価格は純収益4千万円÷還元利回り16%=2.5億円となります。

するとここで疑問が生じます。
不動産鑑定士が採用した利回り16%は、計算による利回り8%より遥かに高く、利回りが高いことはよいはずなのになぜか価格は半値(2.5億円 VS 5億円)になるのです。これはなぜでしょう。

その理由は、計算による利回りと還元利回りという概念が異なり、計算で求めるか、評価主体による判断かで違いがでてきます。還元利回りが高い物件と判断されてしまうことは、リスクの高い物件と判断されてしまうことになります。その結果、価格が低くなってしまうのです。(収益価格=純収益÷還元利回り)

 このように、物件価格を決めれば、利回りを計算することができます。また、還元利回りを決めれば、価格を計算することができます。前者は計算による利回りであり、後者は還元利回りです。計算による利回りと還元利回りが異なっていることを理解しましょう。


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