相続税増税直前!!対策は大丈夫ですか?

2014年07月02日

税理士法人FP総合研究所 松原 健司

平成26年7月2日、京都ライフ本社会議室にて定例セミナーが開催されました。今回は税理士法人FP総合研究所の松原先生を講師に迎え、「相続税増税直前!対策は大丈夫ですか?」と題し、法改正が直前に迫ってきた相続税に対する関心が高まる中、今からでも間に合う対策のポイントをわかりやすく解説頂きました。

◆相続税の主な法改正

平成26年現在、日本の財政は歳出総額が歳入総額を大幅に超えている状況です。その為、歳入額を増やす事が必要となっています。(I)そこで今回、相続税の改正(基礎控除の引下げ)、(II)小規模住宅等の特例の改正、(III)贈与税の税率の改正が行われます。

(I)相続税の改正(基礎控除の引き下げ)

平成24年時点では、平均申告率が4.2%となっており、国は今回の改正により目標として課税対象者を2倍の約8%に設定しています。また、平成27年1月1日から税率が引き上げられます。

(II)小規模住宅等の特例の改正

住居用の住居継続の上限面積が240m2から法改正後は330m2まで拡大されます。この事により緩和される部分も出てきています。その際、2世帯住宅や老人ホームに入居している場合の取り扱いの特例の対象要件も拡大しております。

(III)相続税の税率の改正

・暦年課税
20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税率構造について、生前贈与による財産の有効活用の観点から緩和することになりました。
・相続時精算課税制度
1) 一生涯で2500万円まで非課税。
2) 相続時精算課税に係る贈与財産は、相続税の計算上すべて加算され、相続税で再計算されます。
※一旦、相続時精算課税制度を選択すると、その親子間の贈与については暦年贈与に戻れません。

相続税の最高税率

相続税の最高税率表 相続税の最高税率表

◆教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

概要としては、祖父母等が孫等に対して教育費として一括贈与した資金について贈与税を非課税とします。高齢者層の保有する資産を子育て世代に移転させることを促し、子供の教育資金を早期に確保するためです。ただし、1500万円を上限とし、教育資金の使途は金融機関がチェックし書類保管や孫等が30歳に達する日に口座は終了するなど、制限もあるので注意が必要です。

◆相続税の税務調査から考える今後の対策

現状、税務官が年間で申告数52934件に対し、12210件を調査しており、約23%の全国調査実施率となっています。また、1件当たり500万円の申告漏れが見つかっています。

I、節税対策としての贈与と贈与を行う上での注意点
贈与税は年間110万円までが非課税。相続財産を減らして相続税を安くしたいと考えられている方も多くおられるでしょう。しかし贈与対策は勘違いが多く、対策が対策になっていない方が多く見られます。まず、本来の贈与の要件を満たす為に、1)受贈者に贈与を認識してもらう。2)受贈者が使える環境にする。この2点が必要になります。また、将来の課税庁との争いをなくす為に形式的な部分を満たす事も大切になります。
1)資金の移動を明確にする。
2)親の印鑑で管理しない。
3)贈与契約書を作成する。
4)贈与税の申告書を提出する。
上記の点に注意して贈与の対策をする必要があります。

II、国税庁が認める保険での贈与資金管理方法
支払保険料の負担者の判定は、過去の保険料の支払いが、親等から贈与を受けた現金を充てていた旨納税者からの主張があった場合、下記の内容から贈与事実の心証を得られたものはこれを認めることとなります。

  • 1)毎年の贈与契約書
  • 2)過去の贈与税申告書
  • 3)所得税の確定申告等における生命保険料控除の状況
  • 4)その他贈与の事実が認定できるもの

上記要件を満たせば親の財産であると課税庁が判断する事はありません。確実に子や孫の財産としての管理が可能となります。

◆相続遺産係争件数

遺産分割の争いが行われているのは相続遺産1億円以下で全体の約87%にも及んでいます。相続税が課税されなくても、遺産分割の争いを防ぐ為の相続対策は必要です。

I、遺言書の活用
遺産分割への関心の高まりとともに、遺言書作成数は年々増加しています。 遺言書は大きく分けると1)自筆証書遺言2)公正証書遺言3)秘密証書遺言の3つがあります。主には1)か2)を使う事が多く、効力は同等となっています。

II、生命保険の活用
生命保険は相続遺産ではなく生命保険契約により取得した財産になる為、受取人固有の財産になります。ただし、相続税法上はみなし相続財産として課税されるので注意が必要です。 遺産分割対策を早期に行えば争いを防ぐ事が出来ます。

財産ドック㈱では、皆様にとって有益な情報を提供出来るよう努力して参ります。今後とも京都ライフグループを宜しくお願い致します。

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