今すぐ取り組む相続対策!

2014年01月14日

税理士法人 税理士 貝崎 謙一郎

平成26年1月14日(火)、アーバネックス御池ビル東館3階の京都ライフ本社会議室にて税理士の貝崎謙一郎先生を講師に1月度定例セミナー開催いたしました。
今回のセミナーは、主に平成27年1月に税制改正される相続税対策について、増税前に再度ご確認頂く事を目的に御講演頂きました。
お子様やお孫様への相続をお考えのオーナー様が非常に多く、時折うなずいておられる方が見受けられるなど、皆様、大変真剣に聴講しておられました。それだけ多くのオーナー様が相続税について現在、関心を持っておられるのだと改めて痛感致しました。少し難しいお話になりますが簡単にまとめさせて頂きます。

1.暦年贈与

暦年贈与とは1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算するものです。計算方法は次の通りです。

暦年課税の贈与税(1年毎に計算)=基礎控除後の課税価格(贈与を受けた財産の合計額‐基礎控除額110万円(※))×税率(a)‐税率(b)
※配偶者控除がある場合には、2,000万円を超えた金額

今回の税制改正では、贈与税の税率構造の緩和等の見直しがあります。
現行では、基礎控除後の課税価格が1000万円超の場合、税率(a)は50%、控除額(b)は225万円となります。しかし、改正後(平成27年1月~)は、税率が20歳以上の子・孫が父母、祖父母、祖々父母から贈与を受ける場合に、基礎控除後の課税価格が4500万円以下の場合、税率(a)50%、控除額(b)415万円となります。4500万円を境に税率アップかダウンかが決まります。基礎控除後の課税価格が3000万円以下なら税率(a)45%、控除額(b)265万円と税率がダウン、4500万円以下なら税率がアップとなります。
贈与は基本的に、上の世代から下の世代になされるのでこちらの形式に当てはまります。それ以外の場合には計算方法が変わってきますが、前者が大半ですので前者の方式をご参考にして下さい。

次に生前贈与の効果についてです。
例を挙げると、相続財産3億円、相続人の子2人、10年間に子2人にそれぞれ500万円贈与するとします。生前贈与なしの場合は、3億円に対する相続税額は6920万円で、生前贈与ありの場合は4310万円(10年間の贈与税額の合計970万円、2億円に対する相続税額3340万円)で2610万円の減少となります。(速算表に基づく・法定相続分に応ずる各人の取得金額が3億円超6億円以下の場合は税率が50%、控除額が4200万円)
つまり基本的には生前贈与はなるべく早くしておいた方が良いことになります。ご自身の財産と睨めっこして頂いて、何もしない時と比べ毎年いくら贈与するかを考えて頂いた方が良いでしょう。

2.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価格と、相続財産の価格とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行う制度です。2500万円を超えた額に20%の贈与税が課税されます。

現行の適用範囲は贈与者65歳以上の親から受贈者20歳以上の推定相続人(子)ですが、改正後(平成27年1月~)は贈与者は60歳以上の親から受贈者20歳以上の推定相続人(子)+20歳以上の孫となります。
贈与税の課税制度は、相続時精算課税制度と暦年贈与から選択できるのですが、相続税がかかる場合に相続時精算課税制度を選択すると、基本的には相続財産を減少させる効果はありません。暦年贈与を選択した場合は、相続税と贈与税の実効税率を比較し、贈与をした方が良い結果となります。また、相続税がかからない場合では、相続時精算課税制度を選択すると、相続時に納付した贈与税は還付されます。暦年贈与を選択した場合、110万円を超える贈与をすると贈与税負担が生じます。
つまり、相続時精算課税制度の活用するのは、「将来値上がりすると考えられる財産を贈与する時」「賃貸物件等の収益を生む不動産を贈与する時」「贈与税負担を抑えて特定の者に取得させたい財産を贈与する時」となります。

3.生活費や教育費の贈与

扶養義務者(祖父母等)から孫等へ生活費・教育費(塾代等)を贈与した場合は、必要な都度、直接これらの用に充てられるものの贈与は非課税となります。
また、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税は、受贈者の対象年齢が30歳未満となります。受贈者1人につき1500万円までは非課税金額となりますが、教育資金管理契約に基づき、信託会社に信託した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければなりません。金銭を引き出し、買い物等違う事に充てられた場合は非課税対象とならないので注意が必要です。

4.生命保険の活用

生命保険の非課税限度額には計算方法があります。計算方法は次の通りです。

非課税限度額=(500万円×法定相続人の数※)×(その相続人の受け取った保険金の合計額÷相続人全員の受け取った保険金の合計額)
※被相続人に養子がある場合、法定相続人の数に算入する養子の数は、実子がある場合は1人、実子がいない場合は2人まで

連年贈与で、父から生命保険料分の現金等を毎年贈与します。そして子が生命保険会社に保険料を支払い、生命保険会社から子へ保険金が支払われた場合には子の一時所得となり、所得税・住民税が課税されます。この場合は、相続税の納税資金の準備ができ、生命保険料の連年贈与による相続財産が減少します。また一時所得は、所得税・住民税の計算上かなり軽減されるため、相続税の実行税率より低くなる場合は有効となります。留意点は、毎年、贈与契約書を作成する必要があり、贈与税申告が必要な贈与の場合は、過去の贈与税申告書の控えを保存し、この保険料について贈与者は所得税の生命保険料控除を受けてはいけません。また、贈与の事実が証明できる書類等を保存しておく必要があります。

5.法人所有による相続対策

土地は個人所有のままで、建物だけを法人に売却し、賃貸料収入は法人が得るようにします。また、新たに建物を建築する場合には、個人所有の土地の上に法人が建て、賃貸料収入は法人が得ます。これを建物所有型法人と言います。一般的には相続人が役員等で管理会社等を設立する場合がほとんどです。所得の分散により、相続財産の蓄積を抑え、所得税の累進税率を緩和させることができるというメリットがあります。また、相続人に役員報酬を支給することにより、将来の相続税の納税資金も確保できます。


今回は税理士の貝崎謙一郎先生を講師にお迎え致しましたが、財産ドックでは様々な分野の先生をお招きして御講演頂いております。オーナー様に勉強して頂ける良い機会となりますので、今まであまり興味がなかったというオーナー様のご参加もお待ち致しております。また、お困り事やご質問等ございましたらどんな些細な事でも結構ですのでお近くの京都ライフ、アパマンショップFCウインズリンクにお越し頂ければと思います。また、お電話でのご連絡でも結構ですのでお気軽におっしゃって下さい。オーナー様のお役に立てる様、精一杯努めさせて頂きますので、今後とも京都ライフグループをどうぞよろしくお願い致します。

株式会社 京都ライフ 長岡店

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