現世代で解決!!境界と越境問題
2015年02月12日
平塚泉土地家屋調査士事務所 土地家屋調査士 平塚 泉
平成27年2月12日に京都ライフ本社会議室にて、土地家屋調査士 平塚泉先生お招きし、「現世代で解決!!境界と越境問題」と題して、賢い土地建物の探し方と残し方について分かりやすく講演いただきました。
冒頭ではまず、法務局の地図の不備に対する損害賠償が認められた最近の新聞記事から、地図に対する話をされました。法務局に備え付けられる公図(正式な呼び名は地図)は「14条1項地図」という精度の高い調査・測量の成果に基づいて作成された地図もありますが、大部分は「14条4項地図」という明治時代に作成された旧土地台帳付属地図で、登記された土地のおおよその位置、形状、隣接地番関係位を表示している状態です。
そこで、市町村や国が行う「地籍調査事業」や「14条地図作成事業」の場合の気をつけておくポイントを、具体的な京都市内の地域を例に話されました。仮に地籍調査が行われた際に、境界(この場合は筆界)を確認できなかった場合、「筆界未定地(ひつかいみていち)」として地図に筆界線を表示せずに、土地の地番のみを並列記載するなどの方法で表示してしまいます。確認できない理由としては、筆界について所有者間に紛争があったり、現地で調査を行った際に土地所有者に立ち合ってもらえない等、様々なものがあります。筆界未定地となると、土地の処分や分筆、地積更正等をしようとしても、地図訂正や筆界確認が再度必要となり、明確にしておかなければ不利益を被る事があります。できる限り、事業に協力して筆界が未定になるようなことは避けましょう。
空き家対策への条例可決で賢い利用
京都市は現在、東山地区を筆頭に空き家が増加し、隣接土地所有者だけでなく、地域の課題になっています。またそれにより、越境樹木の繁茂、動物の繁殖、倒壊の恐れ、瓦、トタン等の飛来破損等の問題が起こったり、不在のために土地の境界等相手方への連絡がなかなかできなく、境界が速やかに定まらない等の障害が起こっています。
空き家の適正な管理は、所有者や管理者の責任です。管理が行き届かないまま放置された空き家は、防災、防犯、衛生、景観などの様々な面において周辺環境に悪影響を及ぼします。この為、条例では空き家の所有者・管理者に対し、適正管理の義務を課すとともに、その義務を怠り、空き家(管理不全状態)となった場合は、段階に応じて、市長が改善のための指導、勧告、命令等を行なうことができる規定を定めています。
土地の境界も確認も、相隣関係では互いの権利、及び義務でもあります。この条例をうまく利用して、適正な管理義務を果たしていないなどの理由で条例をうまく使えると、トラブルを避けることができるかもしれません。
【条例に関する問い合わせ先】
京都市都市計画局都市企画部都市づくり推進課 〔電話〕 075‐222‐3503
14条地図及び地籍整備事業地の報告(冒頭の話の続き)
次に、冒頭にもあった平成23年度より始まった、京都市の行う「地籍調査事業」と、法務局の行う「14条地図作成業務」についてのお話がありました。
現在、登記所に保管されている公図の多くは明治時代の調査記録を基礎としているため、土地の境界や面積については、正確でない状況にあるのが実態です。
地籍調査とは、この様な状況を改善するため、市町村が主体となって一筆ごとの土地について行う、土地に関する基礎的な調査です。土地所有者、地番及び地目等を事前に調査し、所有者の方々に現地での境界等を確認、測量により境界や面積の調査を行い、その成果を「地籍簿」「地籍図」に取りまとめます。効果としては、土地の境界をめぐる紛争の未然防止、災害復旧の迅速化、課税の適正化及び公平化等が目的に挙げられます。現在は、上京区や伏見区、東山区等の一部地域が対象地域になっています。国費で行う、地域的な境界確認作業であり、一個人の費用で確定作業を行なうより、無料で確定できるメリットからも、今後のために積極的に立会い、正確な地図を作成していただくことは有意義と言えます。
京都市の新たな道路行政制度で位置指定道路を非課税に!
建築物を建てるための敷地は、法律(建築基準法)で定められた道路に2m以上接しなければならない事になっています。ここで言う「道路」とは、国道や県道、市道といった公道だけでなく、私道であっても認められるものがあります。例えば、土地を分割してそれぞれの土地に建築物を建てる場合には、新たに私道を設けて、特定行政庁(都道府県や市町村)から道路の位置指定を受けます。この指定を受けた私道が「位置指定道路(いちしていどうろ)」です。
京都市はホームページで京都市の認定道路、位置指定道路等の閲覧ができるようになっており、お近くの「道路」がどのような種類の道路なのか、直ぐにわかります。今回京都市は、基準が厳格であった位置指定道路の基準緩和策に出ました。今までは非課税にできなかった私有道路も非課税の道が開けるかもしれません、一度京都市の担当課に調べに行ってはいかがでしょう。
セミナーの最後には、質疑応答のコーナーもありました。参加者の皆様から先生へ、たくさんの相談や質問が飛び交い、非常に有意義な時間になりました。
当セミナーに於きましては、様々なテーマをもとに、その都度専門の先生方をお招きし定期的に講義いただいております。今回のセミナーに限らず、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、是非最寄りの営業所又は、財産ドック事務局までお気軽にお問い合わせ下さい。今後とも、財産ドック事務局をよろしくお願い申し上げます。
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