先代からの土地建物問題を解決!!

2016年02月12日

平塚泉土地家屋調査士事務所 土地家屋調査士 平塚 泉 氏

平成28年2月12日、京都ライフ本社会議室にて財産ドックFP土地家屋調査士 平塚泉先生を講師にお招きし、世代交代を円滑に行うための不動産資料の整理方法や近隣との越境問題について、具体的事例を用いてわかりやすく講演いただきました。本稿ではその一部をレポートさせていただきます。 冒頭ではセミナー前のウォーミングアップとして、新聞記事やネットから最新トピックスの紹介がありました。詳細は割愛させていただきますが、昨今話題の民泊、市税センターの開設、登記情報サービスの便利機能(土地からの建物検索や地番検索)の追加、戸籍のコンピュータ化、また全国的に問題となっている空家対策に関連する京都市の動向などについて言及されました。 続いて本題では先生が実際に取り扱われた事例をもとにケーススタディ形式でご解説いただきました。

1.土地の問題について

1)先代が土地を売却する際に分筆までせずに、土地の一部売買のまま、両者において所有権の範で境界を決めた事例。安易に隣接の所有者同士で土地の一部を売買し、分筆登記もせず購入後に占有状況のみ変更し現在に至っていた。
――先代の節約があだとなったケースで、双方とも後世に引き継ぐべき書面や伝承を確実におこなうことが必要。
2)先代が隣接土地所有者と合意の下に、筆界の段差をなくして直線にした事例。法務局の筆界資料(公図・申告図・地籍測量図等)と違う形で現況を変更したにもかかわらず、登記関係の処理がなされてなかったケース。
――当時の境界資料や先代同士の合意書を残せば、後の処理がスムーズになる。
3)位置指定道路に面した宅地を購入の際に、底地所有者から道路部分を除外して購入し、後に困った事例。先代の土地購入の際、分譲地での道路が開発後の市町村へ帰属されず。登記名義が元々の地主や開発不動産名義のままであり、相続や会社の解散等で、宅地部分の分筆が困難に。
――宅地部分の購入の際、道路部分の所有がどのようになるか、不動産業者・開発業者又は持分購入か将来の具体的帰属方針を確認しておく必要がある。
4)非課税の土地について(道路部分)相続登記をしていなく、末代まで煩雑な手続きで困った事例。既に完了している先代の相続登記物件に、まだ登記名義が先代のまま残っている道路等の非課税物件が出て、再度相続人から分割協議のための押印が必要となり思わぬ負担を招いた。
――固定資産税の課税土地建物のみが相続財産ではないことを把握する必要がある。区役所で名寄せ等での確認を。
5)共同で所有していた専用通路の固定資産税を代表で納税していたことが相続で初めて発覚した事例。現在の固定資産税の徴収システムは共有財産の場合、納税通知書の発送は共有者の代表に送付している。漫然とその相続人が引き継ぎ、合算表示されている納税額を何十年も支払っていた。
――京都市の納税者特定の安易なシステム(共有の場合代表者のみに納付書を送付)での代表者の確認が必要。

2.建物の問題について

1)先代が建物登記を全くせずに未登記のまま相続物件になってしまった際に相続人同士でもめた事例。遺産分割協議に未登記であるため記載がなく大変な関係者が出て、融資ができなかった例なども。
――不動産登記法上の登記懈怠の過料が機能していないことが原因で、未登記部分も市税事務所で調べる必要がある。
2)先代が建築確認書無しに工事完了し増築した部分を未登記のままで新規の借り入れができない、またリフォームローン等の条件で控除証明のため建築確認等が出なかった事例。
――最終条件で建蔽率や容積率オーバーになってないかなどを金融機関に確認することが必要。法令遵守がなされていないと公的な控除など優遇が受けられなくなる場合が多い。
3)先代が建物登記していたにもかかわらず、その建物と土地を担保に借り入れ、また相続しようとしたとき、実は登記の流用がなされており、実際は建替えられていた事例。
――同規模の建物で銀行や税理士、司法書士が納税通知書や他の資料だけで判断したことが原因。面倒でも必ず現地確認を。

まとめ(土地家屋調査士からの提言)

  • 子供のための財産は多く残すことはしなくても、問題のある土地建物は残さないこと。
  • 西郷さんではないですが「子孫に美田を残さず!問題も残さず!」

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