相続が発生すると賃貸借契約はどうなるか?

2017年03月13日

福井・稲田総合法律事務所 弁護士 稲田 真孝氏

3月13日、京都ライフ本社会議室にて行なわれたセミナーをレポートさせて頂きます。
今回の講師は弊社顧問弁護士事務所の福井稲田総合法律事務所の稲田先生を講師にお招きし、相続についてのセミナーを講義頂きました。

相続という言葉で初めに想像されるのは、資産名義人が亡くなった場合の手続きの方法、その税金対策といった内容かもしれません。しかし、賃貸借契約に関連する相続においては、賃貸人側で相続が発生したときだけでなく、賃借人側で相続が発生した場合にも対応が必要となります。

賃貸人側で相続が発生した場合

前者の場合では、まず初めに遺産分割をどのように行うかを決定する必要があります。これらはあくまでも相続人同士の問題ですが、事前に遺言書の作成などの準備をしておくと、トラブルになりにくくなります。
遺産分割の結果、賃貸物件を一人が単独で相続されることになれば特に問題ありませんが、共有することとなった場合は状況が複雑になります。新たに賃貸借契約を結ぶにあたっては後々のトラブルを避けるため、相続人全員で契約を行うことが重要となります。賃料は法定持分通りの配分になりますが、賃料不払いなどによる契約解除は持分の過半数によって決することとなっています。

例えば、二人が半分ずつ持分を持っている場合、お互いが同意しなければ契約の解除はできないということになります。
ただし、契約解除後の明け渡し請求については、共有持分権者一人でも明け渡しを求めることができるというのが過去の判例から見た解釈となるようです。いずれにせよ、相続人の中で意見が分かれてしまうと、状況は複雑になってしまいますので注意が必要です。

賃借人側で相続が発生した場合

では後者の場合、賃借人側で相続が発生したときはどうでしょうか。この場合は前者の場合と異なり、賃貸人は遺産の法定持分に関わらず、賃借人側の相続人一人ひとりに対して、全額請求することができます。
これは、賃料支払義務が不可分であるという法的解釈に基づいています。また、逝去に伴う契約解除については、契約解除の意思表示を相続人全員に内容証明郵便等で行う必要があり、相続人を確定させるなどの作業も併せて非常に手間がかかります。

さらに、この次の段階の明け渡し請求については、一人ひとりに対して明け渡し請求を行うことが可能ですが、訴訟から外れた相続人には判決の効力が及ばないため、基本的には全員を相手に明け渡しを求める訴訟を進める方が無難なようです。

最後に

今回のセミナーでは相続についてほんの一部をご紹介させて頂きましたが、賃貸人と賃借人の相続によって必要な対応は異なることがわかりました。
相続の発生によるトラブルを防ぐためにも、是非セミナー等に参加していただき、対応についてご確認いただければと思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。

株式会社京都ライフ 企画管理部西営業所

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