29年度の注意しなければならない税金のお話し
2017年07月12日
税理士法人京都経営ネットワーク 税理士 村田裕人氏
坂口由美枝氏
平成29年7月12日京都ライフ本社会議室にて、税理士法人京都経営ネットワークの税理士村田裕人先生、坂口由美枝先生をお迎えし「平成29年度の注意しなければならない税金のお話」を議題とした財産ドック定例セミナーが開催されました。
賃貸マンションを経営されているオーナー様にとって避けられない税金の問題という事もあり、具体的な事例を上げた質問が飛び交うなど、関心の高さが伺えるセミナーとなりました。
配偶者控除・配偶者特別控除
働きたい人が就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から見直されます。
所得控除額38万円の対象となる配偶者の給与収入の上限を現行の103万円から150万円に引き上げられ、あわせて配偶者の給与収入が201万円までの場合段階的に控除額が設定されています。
一見減税に繋がると思われるこの制度ですが、今回納税者本人の所得制限が設けられた事で900万円以上の所得がある場合控除額が逓減・消失する仕組みとなり、納税者本人に1000万円以上の所得がある場合配偶者控除すらなくなり実質増税となります。また政府の真の目的は公務員や企業の配偶者手当の廃止とも言われており注意が必要です。
空き家の発生を抑制するための特別措置
相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。) 又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度があります。
適応を受けるにあたっての条件は次の通りです。
①相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適応期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡することが必要。
②相続した家屋の要件
- 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること。
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること。
- 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住用の用に供されていたことがないこと。
③譲渡する際の要件
- 譲渡価格が1億円以下
- 家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む)、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。
該当条件が一軒家のみで連棟のテラスハウスや区分所有建物は不可となっている事や税務署に提出が複雑である事、またあまり浸透しておらず知られていない事もかさなり特別措置の申請数は伸びていないのが現状です。
法定相続情報証明制度
平成29年5月から,全国の法務局において,各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まっています。
今までの相続手続では,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がありましたが、法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出することで,登記官からその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付されます。
その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用することで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。
法定相続人一覧図を作成出来るのは相続人または代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士)に限られます。
平成27年1月の相続税改正後の相続税申告状況
平成27年の相続税改正にはいくつかの内容が含まれていますが、最も大きなポイントは、基礎控除額が引き下げられたことです。
基礎控除額は、相続税の計算をするうえで必ず控除できる金額のことであり、相続財産額がこの金額以下であれば、相続税はかかりません。
従来は、基礎控除額が5,000万円+(法定相続人の数)×1,000万円でしたが、改正により、3,000万円+(法定相続人の数)×600万円となりました。
基礎控除額が引き下げられたことにより想定通り相続税の課税対象者が増加しています。
平成27年京都府における被相続人数中の課税割合は9.1%となり平成26年の課税割合5.6%から3.5%増加した事になります。全国平均でも平成27年の課税割合8%となっており平成26年の4.4%から3.6%増加となっております。このことからも従来は相続税の課税対象にならなかった、資産5,000万円~1億円くらいの準富裕層が課税対象になってきたといえます。
申告に関しては税務調査が入る事がある為あらかじめ事前にしっかり調べて申告しておくことが重要となります。申告の際添付する33条書面に関してですが、税理士によって添付する場合、しない場合があります。書面添付制度の定着に向け国税庁が動いており書類の添付があることにより税務調査が入りにくくなるメリットもあるのですが、現状相続税に関しての書面添付割合は13.6%と高くありません。
また申告時の税理士関与割合は所得税に関しては約20%ですが、法人税、相続税に関しては約90%となっており途中まで自身で申告書の作成をされていても途中から税理士に依頼されるケースも多くなっています。税理士にも専門分野が有ることからも事例に合った税理士選びも重要となります。是非ご参考にしていただければと思います。
最後に
今回は税理士の先生をお招きし税制改革の内容を中心に分かりやすく解説いただきました。
財産ドックでは様々な分野の先生をお招きし御講演いただいております。オーナー様にとって良い機会となりますのでまだご参加いただいていないオーナー様も次回は是非ご参加ください。
また京都ライフグループではお困り事など些細な事から何でもご相談を受け付けております。お近くの京都ライフ、ウインズリンク(アパマンショップ)各店迄お気軽にお立ち寄りください。
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