これからの不動産はどうなるのか?

2017年09月04日

株式会社関西総合鑑定所 不動産鑑定士 杉若浩孝氏

平成29年9月4日京都ライフ本社会議室にて、株式会社関西総合鑑定所の不動産鑑定士杉若浩孝様をお迎えし「これからの不動産はどうなるのか?」―最近の市況とトピックから読み解く不動産の将来―を議題としたセミナーが開催されました。
不動産市況は今後どのように変化するのか、オーナー様はもちろん、我々不動産業社にとっても大変興味深い内容となりました。

路線価の動向

最近都心部の路線価の上昇が進み、銀座ではバブル期を越して過去最高となりました。なぜ、都心部の路線価が上昇するのでしょうか。
アメリカのトランプ政権問題、イギリスのEU離脱問題など、欧米の先行不透明な情勢に対して、日本は政権が安定し円安状況が続いています。都心部のマンションを購入する外国人の投資家が増加し、世界中の投資マネーが日本に集中しやすい環境にあるのです。また、投資家以外にもここ数年、インバウンドにより景気が上昇し、民泊用物件を購入するケースが増加しています。

しかし民泊に関しては、他のマンション住民とのトラブル等も尾図化しているという問題も発生しています。
京都の路線価に目を向けると、祇園、四条通寺町が上昇しております。観光客をターゲットとするホテルの建設ラッシュや、ゲストハウスの増加が主な理由として考えられます。それに対しオフィスビルは、土地取得費に見合う賃料収入の獲得が難しく、新規での供給が止まっている状態です。烏丸御池近辺では平成22年の不況時には12%を超えた空室率が、現在2%台と減少している状況にあります。

将来予測

2020年東京五輪後の不動産はどうなるのでしょうか。
東京オリンピックでは晴海に選手村が予定され、大会後には首都圏最大級の高層マンション街になる見込みです。また、同時に五輪を見越して大規模なマンション再開発プロジェクトが進行し、交通網インフラや商業施設の整備への期待が高まります。しかし別角度から見ると、供給過剰リスクが高まり、加えてインフラ整備が行われるのは一部という理由から五輪の不動産市場に対する影響は限定的かと考えられます。
当初の予測では東京都の人口のピークは2020年、その後は減少傾向になると考えられておりましたが、直近の予測では2015年から2035年までで人口20万人増加という試算が出されています。東京都の人口減少を要因とした「2020年問題」は楽観視できる状況にはなりましたが、2022年に生産緑地制度の期限が到来、生産緑地が住宅地化され、新築マンションや一戸建ての建設ラッシュになると考えられます。現在全国820万戸ある空き家がさらに増加し、マンション、アパートの空室率も増加するとみられております。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、人口の約30%が75歳以上高齢者という時代に突入します。

また不動産の売り物件、空き家が増加が予想されています。そのような兆しは既に見られており、資産価値の無いリゾートマンションや都心へのアクセスが不便な大規模なニュータウンは転出者が急増により衰退しつつあります。このようなことを防ぐためにも新築物件の抑制、タワーマンションの規制、外国人だけではない民泊の多様化が対策とされております。

空き家問題

先述の通り、全国的に近年空き家が増加しており、今後も増加する傾向にあります。その原因としては人口減少・高齢化だけでなく、日本の、世界的には見られない「新築文化」(新築住宅の量産=景気向上という根強い考え)による、新築の作り過ぎが考えられます。2030年には、新築住宅の建設しすぎから3割が空き家になるというデータも予測されています。空き家率が高くなるにつれ窃盗や放火などの犯罪の可能性が高くなり、治安の悪化に繋がると言われます。

では、今後も空き家が増えていくとされるなかで、個人ができる対策方法とは何でしょうか?

①売る

金融緩和は確実に2018年まで続くものの、それ以降は下落のリスクがあります。空き家にかかる譲渡所得の特別控除といった売却促進政策もあり、現在、売りやすい環境です。早めに動くほうが良いとされております。

②土地を貸す

家庭菜園、駐車場、自動販売機置き場として一部を貸すケースと、更地化しコインパーキング等としてまとめて貸すケースがあります。更地化すると建物の維持費や管理も不要、更地の方が建物があるよりも売れやすい傾向にあります。但し、取り壊しする場合は解体費用がかかり税制の優遇もなく、固定資産税も高くなります。

③民泊として貸す

旅館業法の簡易宿所免許の取得が必要でしたが、現在、実情では民泊施設の大半が無許可運営というのが実情です。新法施工後は年間180日の営業日数が上限で決められますが、誰もが民泊できることになり、大手の旅行・不動産関連企業が新たに参入するでしょう。民泊事業向けの融資や金融関連のサービスも充実され、今まで賃貸という選択肢しかなかったところに、民泊という選択肢が加わり、中古マンションの市場の活性化に繋がります。
しかし、組合などが無い状態でスタートすることから、価格競争が生まれるのではと懸念されています。また現在増加中の、住民トラブルの対策方法を考える必要があります。

これからの賃貸経営

物件数が増え、人口が減り、空室が増えていくと予測されるなか、どういう対策を打つのか?先述の対策法に加え、外国人居住者がの需要に目を向けてみます。現在外国人居住者が急増して少子化が進み、存在感を増し始めた外国人居住者の住宅需要が、今後の賃貸経営の大きなカギとなります。外国人向けの賃貸に注力する不動産会社も登場しております。これからの賃貸経営には外国人を取り込む勇気が必要となります。

最後に

財産ドックでは、様々な分野の先生をお迎えし、御講演いただいております。まだご参加いただいていないオーナー様も一度是非ご参加ください。また、お困り事などございましたら些細なことからでもご相談を受け付けております。お近くの京都ライフ、ウインズリンク(アパマンショップ)各店舗までお気軽にお立ち寄り下さい。

株式会社京都ライフ三条烏丸店

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