第37回資産運用と防衛の実践セミナー
2017年10月03日
福井総合法律事務所 弁護士 稲田真孝氏
株式会社全国賃貸住宅新聞社 取締役 永井ゆかり編集長
【第一部】
民法改正に備える
福井総合法律事務所 弁護士 稲田真孝氏
【第二部】
賃貸経営を勝ち抜く満室家主の共通点
株式会社全国賃貸住宅新聞社 取締役 永井ゆかり編集長
平成29年10月3日、メルパルクKYOTO 5階にて財産ドック株式会社による第37回資産運用と防衛の実践セミナーが開催されました。
今回は第一部「民法改正に備える」 第二部「賃貸経営を勝ち抜く満室家主の共通点」をテーマに催され、参加されたオーナー様方は皆様熱心に聞き入っておられました。
【第一部】
民法改正に備える
福井総合法律事務所 弁護士 稲田真孝氏
ご存知の家主様もおられるかと思いますが、平成29年5月26日、参議院本会議において民法制定以来約120年ぶりの民法の大きな改正が可決・成立しました。
稲田先生に講義いただいた中から、仲介店舗の立場として重要な部分を次の通り抜粋いたします。
賃貸人による修繕等(新606条)
今まで「常識的な対応」として行っていたものが、条文として明記されたため、説明がしやすくなりました。
・入居者の責めに帰すべき事由による損傷の場合は、賃貸人に修繕義務はなく、入居者負担となる。
・家主による修繕が必要な場合にもかかわらず、修繕せずに入居者が使用収益できない部分がある場合は、家賃がその程度に応じて当然に減額される。
・賃貸人に修繕義務がある場合に入居者が自分で修繕した場合には、入居者は、賃貸人に修繕費用を請求できる。等
賃借人による修繕(新607条の2)
上記の入居者による修繕ができる場合(入居者の修繕権限が発生する場合)が規定されました。
・賃貸人に修繕を依頼しても、賃貸人が動いてくれない場合。
・急迫(緊急)のとき。
家賃の当然減額について(新611条)
火災などで物件の一部が燃えた場合はその分家賃が「当然に」減額されます。
改正前との違いは、改正前は入居者の請求が必要でしたが、今後は自動的に減額されるという点にあります。トラブル回避のため、契約時に、減額となるのはどのような場合か、そのときの減額割合や減額期間、減額方法等をきちんと決めておくほうが良いでしょう。
敷金について(新622条の2)
敷金の定義について、また返還時期について規定されました。
・敷金は明渡時(退去時)に返金する。
・最終的に家賃滞納分に充てることができるが、入居者から滞納分に充てるように請求することはできない。
つまり、入居者が「滞納分を敷金から出してくれ」というのはできないということも規定されました。
原状回復義務について
現在でも、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて行っているので大きな変更はありませんが、経年劣化・通常損耗は賃貸人の負担とすることが明記されました。
保証契約について
連帯保証人に過剰な負担をさせることのないように「極度額」の定めが必要になりました。
極度額を書面で定めなければ、保証は無効です。また連帯保証人は、借主が賃料滞納をしていることを知らなければ突然多額の負担を求められることになるため、連帯保証人が賃貸人に対し、借主の滞納状況などの情報を提供するように、求めることができるようになりました。
更新と民法改正
更新後の契約は新しい契約であるとされる場合もあるため、改正後に更新された契約は、改正後の民法が適用されるかのうせいがあるため注意が必要です。
総評として、曖昧だった点が明記され、契約時やトラブル発生時に説明しやすくなりました。また、極度額の定めによりトラブルは減りそうです。ただ、家賃の減額や極度額など契約時に詰めておかなければならない項目が増えた点においては、注意が必要と考えられます。
【第二部】
賃貸経営を勝ち抜く満室家主の共通点
株式会社全国賃貸住宅新聞社 取締役 永井ゆかり編集長
第二部では、現在の賃貸マンションの需要傾向、建設傾向についてお話をいただきました。平成25年度の消費税の増税、平成26年度の相続税改正等で賃貸マンションの建築数は年々増加しています。その反面、既存の賃貸マンションは空室が目立つ現況になっています。
そうした中で、いかに賃貸経営を存続させていくかが今後の課題になります。そこで、3つの提案を頂きました。
1.シェアリングエコノミー
いわゆる空き家をレンタルスペースとして稼動させる方法です。会議やパーティーなど、様々な用途に貸切ルームとして貸し出すのです。
2.高齢者への特化
今後、高齢化社会はさらに加速することが考えられます。そこで、例えば入居者の安否が確認できるサービス等を取り入れて、高齢者に特化した入居者斡旋にも目を向ける必要があります。こういったサービスは、京都ライフでも取扱がございますので、興味をお持ちのオーナー様はぜひご相談ください。
3.外国人入居希望への対応
現在でも徐々に外国人の入居希望も増えてきています。家賃保証の会社もここ数年、外国人の家賃保証をはじめるケースが増えています。全てのお部屋が外国人で埋まることはないかと思いますが、入居者層の受け入れ態勢を考えても良いのではないでしょうか。
また、例外もあるものの、満室経営をしておられる家主様の共通点として
- 情報収集力
- 家主業はサービス業と考えている
- 商品価値の維持
- 数字の管理
- 良きビジネスパートナーの存在
等が考えられます。
1は、いかに市場の動きを把握しているか。また、入居者とのコミュニケーションがあるのか?といったことに努力されている方。
2は、一昔前であれば入居者を家主にはある程度選ぶことができたかもしれませんが、最近ではむしろ「(物件を)選んでください」という傾向にあり、そういった意識の転換が出来ている方。また、築年数が経てば築の浅い物件には綺麗さは適いません。
そこで3で挙げたように、定期的に洗面台を入れ替えたり、キッチンを入れ替えたりとマンションの価値の保つことに意識的であることも、満室経営には必要です。
そして賃貸経営の中でも最も重要なのが、キャッシュフローや経営効果など、数字の管理です。商品価値の維持をしていても、数字がきちんと管理できていなければ賃貸経営は難しくなります。近隣相場にあった家賃査定にも目を向けていかねばなりません。そういった意味でも4のポイントは重要です。
最後の5は、先に挙げた4項目を共に実行していくことのできる取引企業です。そういったパートナーとの関係を万全に保つことも大切です。
オーナー様の中でこの様なご相談がございましたら、一度ぜひ今日とライフグループにお問い合わせください。リノベーションを行うリフォーム部による提案や、近隣相場等の確認も各店舗でもお手伝いさせていただき、今後もオーナー様にとって良きパートナーとして満室経営を目指していきたいと考えています。
その他、会場の入り口付近では賃貸経営に役立つブースを展示し、休憩時間やセミナー終了後もたくさんの家主様で賑わっていました。今回、残念ながらご出席頂けなかったオーナー様も是非次回の機会にご出席頂けましたら幸いです。今後とも京都ライフグループを何卒宜しくお願い致します。
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