賃貸トラブル相談!誰の責任?

2018年03月13日

福井・稲田総合法律事務所 弁護士 稲田 真孝氏

平成30年3月13日弊社本社会議室にて、福井稲田総合法律事務所稲田弁護士をお招きし、セミナーを開催いたしました。
賃貸トラブルはどのような場面で起こるか?をテーマに、①賃貸借契約以前 ②賃貸借契約中 ③賃貸借契約終了頃と以降 の3つに分けて解説いただきました。

①賃貸借契約以前

共用部や空室の管理責任はオーナーに及ぶので、共用部や室内に危険なものが置かれていた場合などは、賠償責任を負わされかねません。日常の巡回管理と注意喚起を怠らないようにしましょう。原状回復などを見据えた契約ができているかもチェックが必要です。
最高裁判所第2小法廷平成17年12月16日判決の考え方によると【賃借物件の通常損耗は原状回復義務の対象外であるが、例外的に通常損耗分を原状回復義務の対象とする特約を設けることは出来る。ただし、その成立が認められるためには通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白でなければならない。】となり、退去時にハウスクリーニング代などの費用を受領するためには、特約にてハウスクリーニング費用○○円と記載し、署名捺印が必要との事です。金額未記載や曖昧な表現では特約が成立しているとは言えません。

②賃貸借契約中

引渡時に問題があったか、引渡後に賃借人過失で発生した問題かがはっきりしない場合、トラブルになることがあります。
引渡し前に室内原状の写真を撮ること、賃借人から入居時チェックシートを提出してもらう等の対策をして下さい。
また、オーナーには物件を使用収益させる義務があり、漏水などの被害を受けた賃借人に対して、修繕義務が生じます。よって、オーナーに漏水の責は無くとも修繕をしなければなりません。
平成32年4月1日施行予定の民法改正の影響も避けられません。

【現行法】→賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人はその滅失した部分の割合に応じて賃料の減額を請求できる。
【改正後】→賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益することができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない自由によるものであるときは、賃料は、 その使用及び収益をすることができなくなった割合に応じて減額される。

これは、改正後は賃借人の請求なしに当然に賃料は減額されるという意味を指します。今後はその割合の算出方法、免責事項などを考えて契約していかなければなりません。

③賃貸借契約終了時

夜逃げ部屋への法的対応の例として、次のような判決が出ました。

【浦和地裁平成6年4月22日判決】賃貸借契約書に「賃料滞納したとき、または無断で1ヶ月以上不在の際、契約は催告を要せず解除され、賃借人は明渡すものとする。明渡しできないとき室内遺留品は放棄されたものとし、随時売却処分されても異議なきこと」と記載があったとしても、判決では自力救済は認められず、賃借人へ慰謝料等を支払うこと。

つまり、夜逃げしたからといって賃貸借契約が終了するのではありません。自力救済(オーナーが法的手続きを行なわず一方的に解除し残地物を処分)するのは要注意です。
ではどうすればよいうのでしょうか?法的手続き(訴状提起~強制執行)をとるのが望ましいことではありますが、費用、時間ともに要しますので、そこまで決めかねておられることが多いようです。
比較的解決が早い方法として、即決和解制度、調停、公正証書作成による解決を図ることもあります。

財産ドックでは様々な分野の先生をお招きし御講演いただいております。オーナー様にとって良い機会となりますので、まだご参加いただいていないオーナー様も次回は是非ご参加ください。
また京都ライフグループではお困り事など些細な事から何でもご相談を受け付けております。お近くの京都ライフ、ウインズリンク(アパマンショップ)各店迄お気軽にお立ち寄りください。

株式会社京都ライフ企画管理部南営業所

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