第38回 資産運用と防衛の実践セミナー【第一部】

2018年05月14日

税理士法人FP総合研究所 代表社員・税理士(CEO) 松原健司氏
賃貸UP-DATE 実行委員会代表 楽待新聞 連載コラムニスト 林浩一氏

平成30年5月14日、メルパルクKYOTOにて財産ドック株式会社主催の「資産運用と防衛の実践セミナー」が開かれました。

【第一部】
要チェック!平成30年度税制改正とその対策を徹底解説!

税理士法人FP総合研究所 代表社員・税理士(CEO) 松原健司氏

【第二部】
賃貸にもホームステージングの時代がやってきた!
~成約率アップ空間演出方法!~

賃貸UP-DATE 実行委員会代表 楽待新聞 連載コラムニスト 林 浩一氏

【第一部】
要チェック!平成30年度税制改正とその対策を徹底解説!

税理士法人FP総合研究所 代表社員・税理士(CEO) 松原 健司氏

第一部は「要チェック!平成30年度税制改正とその対策を徹底解説!」と題し、松原健司先生に、今回の税制改正とその対策について細かくご説明いただきました。

地積規模の大きい宅地の評価の見直し

平成29年度税制改正大綱において、相続税等の財産評価の適正化として、広大地の評価が見直されました。広大地の評価方法はこれまで、現行の面積に比例的に減額する比例方式が取られてきましたが、改正後は各土地の個性に応じて形状、面積に応じて評価する方法に見直すとともに、広大地として適用する範囲も見直されてきました。
まず現行の広大地の適用要件について、

  • その地域における標準的な宅地に比して、著しく地積が広大な宅地であること
  • 開発行為を行うとした場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの
  • 大規模工業用地ではなく、かつ中高層の集合住宅の敷地用地に適していないこと

が挙げられます。
しかし現行の制度では、適用要件が相対的なものであり、専門家の間でも判断に苦慮し、審査請求や訴訟となるケースが多発していました。
また、個別の土地の形状に関係なく、面積に応じて比例的に減額するものであるため評価額が実際の取引金額を大きく下回る事態も生じていました。
改正後は、「広大地の評価」は廃止され、これに代わるものとして「地積規模の大きな宅地の評価」を新設することとなりました。
新しい評価方法では、従来の路線価に「奥行価格補正率」「不整形補正率」の補正を行って算出した価額に、宅地の地積規模に応じて算出した「規模価格差補正率」を乗じた価額によって評価する事となりました。対象となる「地積規模の大きな宅地」に関しても、明確に適用範囲が決められることとなり、判断に迷うことなく評価が出来るようになりました。
なお、「地積規模の大きな宅地」とは以下の条件を満たす土地です。

・三大都市圏→500m²以上の宅地
・それ以外の地域→1000m²以上の宅地
※ただし、次に該当するものを除く

  • 市街化調整区域(宅地分譲に係る開発行為を行うことができる区域を除く)に所在する宅地
  • 工業用地域(都市計画法8①一)に所在する宅地
  • 容積率が400%(東京都特別区については300%)以上の地域に所在する宅地

加えて、従来の広大地では評価できなかった「開発が完了している土地」「濡れ地の発生しない土地」についても評価できるようになりました。また改正後の評価方法により、減額率が減少し基本的には評価額が上昇するものと思われます。
改正後の宅地取得にあたっては、「地積規模の大きな宅地」に該当するか否かにより相続税額が大きく異なることがあります。また地積規模の大きな土地の評価においては、分割して相続せずに共有で相続することにより「地積規模の大きな土地の評価方法を適用することができるようになります。

生産緑地法...生産緑地地区の面積用件の引き下げ

これまでに生産緑地地区を都市計画に定めるには、1団で500m²以上の区域とする規模要件が設けられており、要件を満たさない小規模な農地は農地所有者に営農意思があっても保全対象とされませんでした。
また収用や相続等で生産緑地地区の一部が解除された際、残された面積が規模要件を下回ると生産緑地地区全体が解除されてしまう"道連れ解除"も起きていました。これらの問題を受けて、生産緑地法改正後は面積要件を300m²まで引き下げとなりました。

小規模宅地等の特例(特定居住用宅地の要件確認)

被相続人が居住に供していた宅地等のうち、被相続人の配偶者意外で次に挙げるものが取得した場合には、特定居住用地として330m²まで80%減額することとされています。


(A)相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者であること
(B)相続開始から申告期限まで引き続きその宅地等を有していること
(C)相続開始から申告期限まで引き続きその建物に居住していること


(A)被相続人に配偶者又は相続開始の直前において同居している親族がいないこと
(B)その親族が相続開始前3年以内にその者又はその配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと
(C)相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有していること


(A)相続した者がその被相続人と生計を一にしていた者であること
(B)相続開始時から申告期限まで引き鶴気その宅地等を有していること
(C)相続開始前から申告期限まで引き続き事故の居住の用に供していること

②に関しては家なき子に対する特定居住用宅地として適用できる制度としてありました。
特定居住用宅地の適用をうけるため、いわば相続税の対策として、子の建物を親が買い取り親名義にするといったことが行われていました。こういった事を受けて、改正が行われて、特定居住用宅地の適用範囲が狭められることとなりました。
改正後の適用範囲は次の通りとなります。

①被相続人に配偶者及び同居の相続人がいないこと
②相続開始前3年以内に次の者が所有する家屋に居住したことがないこと。
  イ)自己又は自己の配偶者
  ロ)3親等以内の親族
  ハ)特別の関係のある法人
③相続開始時に居住していた家屋を過去に所有したことがないこと

②に関して適用範囲が明確になったことにより、被相続人が孫に自分の子の自宅の敷地を遺したり、子が所有している家屋を親に譲渡したりしたとしても特定居住用宅地としての適用が受けられなくなります。

第二部「賃貸にもホームステージングの時代がやってきた!~成約率アップ空間演出方法!~」へ続く

ウインズリンク株式会社 アパマンショップ北大路店

一覧に戻る

資産運用のご相談は
こちらから

財産ドック株式会社

財産ドック株式会社

〒604-8186
京都市中京区御池通烏丸東入梅屋町361-1 アーバネックス御池ビル東館3階 財産ドック事務局(京都ライフ本社内)

TEL075-256-8240

FAX075-344-4664

営業時間9:30~19:00 年中無休(盆・正月を除く)

ご相談はこちらから