民法改正は賃貸経営にどう影響するか

2019年03月13日

福井・稲田総合法律事務所 弁護士 稲田 真孝氏

3月13日、京都ライフ本社会議室にて行われたセミナーをレポートいたします。今回の講師は弊社顧問弁護士事務所である福井・稲田総合法律事務所から、稲田弁護士を講師にお招きし、民法改正について講義頂きました。

大幅な民法改正

今回の改正民法は、2017年6月2日に公布されており、2020年4月1日から施行されます。改正項目は約200項目に上り、これは民法制定以来、約120年ぶりの抜本改正となります。
これまでに細かい改正はあったと思われるものの、民法制定は明治23年4月のことでした。ちょんまげを結っている方もいたのでは?と思うくらい昔の話です。現在では当たり前となった「インターネット」もなければ「電子マネー」も無く、現在の商取引の内容とそぐわない法律だったことは容易に想像がつきます。

改正民法のうち、賃貸住宅に関する箇所を挙げますと、(新606条)賃貸人に修繕の義務が有る場合、修繕されない期間に相当する賃料の当然減額請求が可能となり、賃借人が修繕した際には賃貸人に対する必要費償還請求権が発生することになりました。また、修繕が必要な損傷部分に関わる賃借人の原状回復義務は無い事が明文化されました。
例えば、冬季にお風呂の給湯器が壊れ、賃借人がお風呂に入れない状況になった場合、給湯器が直るまでの間のお風呂代等の損害については、今までは少しの期間ぐらいは我慢してもらっていたケースが多かったかもしれません。しかし施行後は、賃借人はお風呂に入れなかった期間の損害を当然請求できる事になります。また、賃貸人に通知しているにも関わらず、相当の期間内に必要な修繕を行わない場合、賃借人が修繕し、その費用を請求できる事にもなります。これは、緊急を要する事情がある場合も同様に請求されます。
この減額請求権についても、改正前は賃借人の請求により減額となっていたものが、改正後には、当然に減額となる、と変更されます。これにより、賃借人からの賃料の返還請求を訴え、それに応じない場合、賃借人が賃料の支払を拒絶する事が考えられます。

これ以外にも、保証契約の改正による保証人規定の厳格化、敷金及び原状回復義務の明文化等重要な民法改正があります。特に保証人の規定に関しては、新規契約者はもちろん、現入居者に対する対応をどのようにしていくか、で保証契約が無効となる場合も存在し、対応に苦慮しそうです。

個人家主様へ

今回の民法改正により、賃貸経営に及ぼす影響は大きく、特に管理会社に管理を依頼されていない個人家主様は、情報収集の上、契約書、更新書類の変更が必要になります。変更されなかった場合、多大な損害を被る可能性あります。
お近くの京都ライフ店舗、企画管理部営業所にて詳しく説明させて頂きますので、一度、ご相談下さい。

今後も、賃貸経営者様の為になるセミナー等を随時開催して参ります。ぜひ参加いただきましたら幸いです。今後とも何卒宜しくお願い致します。

株式会社京都ライフ 売買事業部

一覧に戻る

資産運用のご相談は
こちらから

財産ドック株式会社

財産ドック株式会社

〒604-8186
京都市中京区御池通烏丸東入梅屋町361-1 アーバネックス御池ビル東館3階 財産ドック事務局(京都ライフ本社内)

TEL075-256-8240

FAX075-344-4664

営業時間9:30~19:00 年中無休(盆・正月を除く)

ご相談はこちらから