マンション経営と資産運用の実践セミナー

2008年05月19日

(株)関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博
(株)京都ライフ 今川 雄二郎
税理士法人総合経営 公認会計士 長谷川 佐喜男

去る平成20年5月19日、財産ドック株式会社と社団法人全国賃貸住宅経営協会京都府支部の共同企画によるセミナーが開催されました。
今回は「不動産の価値観が変わった!」をテーマに3部にわたって行われ、参加されたオーナー様方は皆様熱心に聞き入っておられました。

【第一部】
サブプライムローン問題と京都の地価
~バブルがはじけた今後の京都はどうなるのか~

(株)関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博

【第二部】
あなたのマンションはお客様のニーズに応えられましたか?
~2008年春、京都賃貸市場動向を徹底検証!~

京都ライフ 今川 雄二郎

【第三部】
相続税大改正案とその影響
~遺産取得課税を中心として~

税理士法人総合経営 公認会計士 長谷川 佐喜男

【第一部】
サブプライムローン問題と京都の地価
~バブルがはじけた今後の京都はどうなるのか~

(株)関西総合鑑定所 不動産鑑定士 細見 正博

1.最近の地価動向について

概括
平成20年1月1日時点の地価公示によると、平成19年1月以降の1年間の地価動向は、全国平均で見ると住宅地および商業地ともに2年連続での上昇となった。
三大都市圏においては平均で上昇幅が拡大したものの、都心部を中心に上昇幅が縮小した地点が現れた。また地方圏においては下落幅は縮小したものの、依然として下落地点が大半を占めた。

三大都市圏では平均で住宅地4.3%、商業地10.4%上昇し、住宅地は2年連続・商業地は3年連続の上昇となった。

大阪圏
住宅地は平均で2.7%上昇し、2年連続での上昇となった。大阪市・京都市及び神戸市といった中心都市では引き続き平均で上昇傾向を示している。
京都市近隣では京田辺市・宇治市等において上昇幅が拡大したが、これは利便性や住環境に優れた地域において住宅需要が顕在化したためである。

商業地に関しては平均で7.2%上昇し、3年連続して上昇となったが前回の上昇率を下回っている。これは全体的に見て上昇地点は増加したものの大阪市・京都市における中心商業地の上昇幅が縮小したためである。
京都市では平均で前回の上昇率を下回り、特に中京区・下京区等では上昇率の鈍化が顕著となった。京都市近郊の宇治市・長岡京市においてはそれぞれ上昇幅が拡大したがこれは駅前等の整備による利便性の向上のためである。


(以降は省略させていただきます。)
平成20年の地価動向については、セミナーレポート「平成20年地価公示に基づく地価動向について」も併せてご覧下さい。

セミナーレポート:平成20年地価公示に基づく地価動向について

2.サブプライムローン問題


サブプライムローン問題 スライド1

サブプライムローンとはアメリカの低所得者向けローンを指す。低所得者向けのため最初の数年は低金利だが、徐々に金利が高くなるという特徴がある。

サブプライム層(低所得者)はこのローンを利用して住宅を購入し、不動産価値が向上すると、その住宅を担保に低金利の住宅ローンを組み、サブプライムローンの返済に充てる。すると、高金利のローンから低金利へのローンの乗換えができる事になる。

そのためサブプライムローンは広まったが、連続的な金利引き締め政策により不動産価格が伸びず、サブプライムローンの返済が滞るようになった。
スライド1参照:Aより返済が不可能になると、Bの債権→Cの証券へと影響が及び、結果として投資家からの投資マネーが減り株価が下落、世界中に影響を及ぼした。


【第二部】
あなたのマンションはお客様のニーズに応えられましたか?
~2008年春、京都賃貸市場動向を徹底検証!~

京都ライフ 今川 雄二郎

ここではお客様のニーズについて簡単にですがレポートさせていただきます。
2008年1月~2008年4月に実施したアンケート集計をみると、お客様の様々なニーズを読み取ることができます。

来店理由

以前は来店理由の約70%が情報誌だったが、近年はインターネットの普及によりホームページを見てのご来店が45%を占めている。
「情報誌」は14%と根強く、「知人の紹介」「通りがかり」といった理由が続くが、ご来店後にお話を伺うとインターネットでも情報収集をされている場合が多く、インターネットへの対策は今後も欠かすことができないといえる。

引越し理由

やはり結婚・進学・就職といったイベントの際に引っ越す方が多い(合計46.7%)。
中には「更新(7.5%)」の時期にあわせてや「家賃が高い(2.1%)」「部屋が狭い(3.6%)」「通勤に不便(5.8%)」等、現在のお住まいに不満をもたれてのお部屋探しも目立っている。

年齢層

年齢層ではやはり「18~25才」が48%と最も多く、背景には大学・専門学校への進学及び新卒者の就職の為の引越しが多いことが考えられる。「26~30才」「31~35才」が後に続いておりファミリー物件に関しては新婚層が多くみられる。

希望間取り

希望間取りは「1R・1K」が55%と半数以上を占めている。ファミリー層の間取りでも「3K・3DK・3LDK」よりも「2K・2DK・2LDK」が圧倒的に多数になっている。
(右表)優先条件の1位に「賃料」28.8%とあるように、広さより狭くても家賃を重視する傾向があることがわかる。

必須設備・希望設備

必須設備・希望設備では「バストイレ別」「室内洗濯機可」「冷暖房」は相変わらずの上位である。
近年「インターネット対応」「システムキッチン」「オートロック」「ガスキッチン」「シャンプードレッサー」等のワンランク上の設備仕様を重視される方も増えてきている。
ファミリー物件に関しては「追い焚き機能付き浴室」を求める方が多い。


【第三部】
相続税大改正案とその影響
~遺産取得課税を中心として~

税理士法人総合経営 公認会計士 長谷川 佐喜男

 新たな事業承継税制の創設にあわせて、相続税の課税方式をいわゆる「遺産取得課方式」に改めることが検討される。
その際、格差の固定化の防止・老後扶養の社会化への対処等相続税を巡る今日的課題を踏まえ、相続税の総合的見直しが検討される。

課税方式の類型

相続税の課税方式には遺産課税方式と遺産取得課税方式の2つがあり、我が国では両方式を折衷した法定相続分課税方式(併用方式)を採用している。

(1)遺産課税方式
 遺産課税方式は、被相続人の遺産に焦点を当て遺産の総額に対して課税をする方式である。いわば被相続人の所得税を補完するもの・所得の精算を行うものという位置づけにある。
 具体的には遺産執行者等がまずは相続財産から相続税を納付して、その残りを各相続人に分配するという方式である。

(2)遺産取得課税方式
 遺産取得課税方式は、個々の相続人等が相続した財産に対して課税をする方式である。
 相続財産をまず相続人に分割した後、それぞれの相続人が取得した財産に見合った相続税を納付する。いわば相続人の無償の財産取得に担税力を見出して課税するという考え方である。

(3)法定相続分課税方式(併用方式)
 我が国が採用している法定相続分課税方式(併用方式)は、遺産取得課税方式を基本としているが、遺産を法定相続人が民法の相続分に従って分割したものと仮定して相続税額を計算する。

 これは、実際の遺産分割の如何にかかわらず、まずは民法の法定相続で相続したと仮定して相続税の総額を計算した上で、実際の各相続人の相続割合により按分した相続税額を各相続人がそれぞれ納付する方法である。
 従って、相続税の総額は遺産分割の仕方にかかわらず一定ということで、遺産取得課税方式の欠点を回避して遺産課税の長所を取り入れている、いわば両方の長所を兼ね備えているという特色がある。

相続税額の比較

現行の法定相続分課税方式と、遺産取得課税方式とでは、どれくらい相続税額に差が出るのか。事例を挙げて説明します。

【事例】
法定相続人・・・子2人(長男及び次男)
遺産総額・・・5億円(長男:4億円取得、次男:1億円取得)

A.現行の法定相続分課税方式の場合

(1)各人の取得額を合計: 4億円+1億円=5億円
(2)相続税の基礎控除額を控除: 5億円-7,000万円=4億3,000万円

(3)相続される遺産を法定相続分に分けた金額へ税率を乗じ、相続税の総額を算出する。
長男・次男共に法定相続と仮定した相続税額の算出式は下記のようになる。
     4億3,000万円×1/2=2億1,500万円
     2億1,500万円×40%-1,7000万円=6,900万円
◆合計課税額は6,900万円+6,900万円=1億3,800万円

(4)各人ごとの取得割合に応じて、上記の税金を按分する。
   長男:1億3,800万円×80%=1億1,040万円(平均税率:27.6%)
   次男:1億3,800万円×20%=2,760万円(平均税率:27.6%)

※現行課税方式では、長男・次男共に同じ税率が適用される。

B.遺産取得分課税方式の場合

前提:基礎控除は現行の基礎控除を2分割、税率はそのままとして計算します。

    長男:(4億円-3,500万円)×50%-4,700万円=1億3,500万円
        (平均税率33.87%=1億3,500万円/4億円)

    次男:(1億円-3,500万円)×30%-700万円=1,250万円
        (平均税率12.5%=1,250万円/1億円)

◆合計課税額は1億3,500万円+1,250万円=1億4,800万円

※Bの遺産取得課税方式では相続人が実際に取得した財産に対して相続税が計算される。
税率は超過累進税率であり、課税財産が多いほど税率が高くなるため、例で言えば長男の課税価額が多くなる結果、Aの法定相続分課税方式よりも相続税の合計額が多額になる。

遺産取得課税方式に移行した場合の、総合的見直し(予想)

1.未分割遺産に対する課税
未分割財産は法定相続分により分割したものとして計算されるので、未分割財産に対する課税価格計算の方法が検討される。

2.死亡保険金(死亡退職金)の非課税限度額
 「法定相続人」という考え方が改められ、例えば各相続人ごとに一律500万円、又は廃止・縮減の方向(H14年6月・税制調査会)で基礎控除に吸収。他方、納税資金確保の観点から大幅引き上げ案(日本税理士会連合会H20)

3.小規模宅地等の特例の見直し
 事業を承継しない相続人まで、事業承継税制の効果が及び相続税が軽減される弊害が指摘される。「長男」のように要件を満たさない被相続人の親族を適用対象者から除外される見直しが予想される。

4.基礎控除
 今後、課税方式が遺産取得課税方式に移行すれば、一定金額に法定相続人を乗じる仕組みは廃止され、各相続人ごとに一定金額を基礎控除額と定めて相続等により取得した財産から控除することが考えられる。
なお、基礎控除については、「広く薄く」の観点から引下げの方向で検討すべきであり、贈与税の基礎控除についても、相続税との贈与税の検討において相続税の基礎控除との関係を考慮し見直しが必要との方向性が示されている。(平成14年6月・税制調査会)

5.税率構造
 過去の税率構造の改正により課税割合・負担割合は減少している。
課税方式の遺産取得課税方式への移行に伴い、課税割合を引き上げるため(平成14年6月に税制調査会から示された方向性に沿うと考えられる)、 基礎控除額を引き下げるとともに、最低税率を現行の10%から5%に引き下げることにが想定される。=より「広く薄く」という方向性の実現を図るための見直し

6.税額控除
(1)配偶者控除
 今後、課税方式が遺産取得課税方式に移行した場合には、上記算式のうち「法定相続分相当額」という計算要素が見直しされる可能性がある。
(2)未成年者控除(障害者控除)
 今後、課税方式が遺産取得課税方式に移行すると、各相続人ごとに個別に相続税額を計算することになる。よって未成年者の控除不足額は打ち切りとなり扶養親族の相続税額から控除できなくなる可能性がある。

7.連帯納付の義務
 具体的には、同一の被相続人から相続等により財産を取得したすべての者は、その相続等により取得した財産に係る相続税について、その相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、相続人等が互いに連帯納付の責任がある。(相法34・(1))。
今後、課税方式が遺産取得課税方式に移行し、各相続人ごとに個別に相続税額を計算し納付することになると、連帯納付義務の見直しが行われるかもしれない。

8.納税地
 課税方式が遺産取得課税方式に移行すると、相続財産の総額を把握しなくても各相続人等が取得した個別の財産が把握できれば相続税額の計算ができる。よって納税地の規定は原則に戻り各相続人等が個別にそれぞれの納税地に相続税の申告書を提出することになることもあり得る。

今後の動向(予想)

1.各人単位の基礎控除次第では納税者の数は増加する可能性。

2.各人毎に累進税税率を適用する。
・配偶者軽減も改正されそうなので、相続取得でなく「配偶者固有の財産」である事の立証が重要。
・実際価値や収益価値の高い遺産を巡り分割協議が今迄以上にシビアになる。
・相続土地の評価額が今までより以上税額を上下させるので評価減の適用の最大化が求められる。

3.相続人以外には基礎控除なしで累進税率を適用することになる。
・孫などに対する贈与が否認されれば相続税がより高額になる。
・累進税率の緩和を目的とした養子縁組活用が復活。

4.遺産取得課税方式が導入される場合。
・納税猶予制度を導入すると他の相続人の税額も減少してしまう。
・相続人の1人に申告漏れがあった時、他の相続人の税額も増加し加算税・延滞税が課される。


 会場の入り口付近では賃貸経営に役立つブースを展示し、休憩時間やセミナー終了後もたくさんの家主様で賑わっていました。今回、残念ながらご出席頂けなかったオーナー様も是非次回の機会にご出席頂けましたら幸いです。

セミナーに関する疑問やご質問等がございましたら、こちらのお問合せフォームからお気軽にお問合せください。

株式会社 京都ライフ 京都駅前店

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